JATAN>森林>JATAN NEWSよりカナダ再訪2
情報提供者 : 熱帯林行動ネットワーク
提供日付 : 1997/07/26
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース02 #496
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
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カナダ再訪 ー森林活動家と先住民との交流を通して考えたことー
【内陸部の森林を訪ねて】
今回お世話になったコリーンが住むニューデンバー村では、冒頭で述べたように、
目の前にあるアイダホ山の中腹にあるニューデンバーフラットという水源林地域の
伐採問題で大揺れでした。
このスローキャン渓谷地域は一方で多くの森林の皆伐が進み、他方コリーンやハ
ーブ・ハモンドなどの活躍で、両岸に大きな保護区、州立公園ができており、また
グリズリー(灰色熊)の保護区も提案され、設置されようとしています。そのため、
残された森林をめぐって、スローキャン木材社などの伐採会社と住民との争いが深
刻化しています。コリーンの率いるバルハラ自然保護協会の事務所では、数ヵ月に
わたって、伐採を止める努力がなされましたが、いよいよ伐採許可が迫り、事務所
の売り場を閉鎖するなどして道路封鎖の準備にあたって戦場のようでした。
コリーンはこのために村を離れることができず、ウイニペグの「北米公聴会」、
モントリオールで開かれた「IUCN総会」やフィンランドでの「亜寒帯林保護国際
ネットワーク(TRN)」の総会にも参加できない状態でした。私は「コリーンを村の
外に出させないための新手の嫌がらせではないか」と思ったほどです。
この忙しいさなかに彼女は友人のデビットといっしょに、このニューデンバーフ
ラットを案内してくれました。この森林は一度伐採が入っていますが、現在の皆伐
と異なり古い時代の択伐であったので、かなり立派で美しいカナダ杉(ウエスターン
・レッド・シダー)やヘムロック、ダグラスファー、スプルース、パインなどがある
混合林であり、地元の人々が愛着をもつのは当然であると感じました。
ましてや伐採道路の拡張や延長は急峻な渓谷の土壌流出や地滑りなどが起こる危
険性が強く、水質悪化や渇水時の水源確保に問題が生じることは明らかでした。私
もこの問題で地元の新聞社のインタビューを受けたり、リリースを出すなどの協力
をしました。
↑コリーン(左)とデビッド
この地域では松茸がとれ、地元の人々の副収入です。私もコリーンの妹のキャッ
シー夫妻と松茸狩りに行き、松茸ご飯やスープを2回ほどつくり、コリーンのとこ
ろに集まってくるバンクーバーからのフィルムクルーやカリブーから来た写真家の
ラルフ、コリーンの親戚の人々にふるまいました。
この村の周辺には日系人が住んでおり、米や味噌、かつおだしなどは村に1軒あ
るスーパーで入手できます。覚えたての「日本料理」でも評判になり、「いっしょ
にレストランを出そう」と茶化す女性も現われました。
【野生生物と森林保護の争点】
BC州は野生生物保護ではこの10年間で保護区が徐々に増えている、という点
ではカナダでは一番進んでいます(他の州では全く増えていない所も少なくない)。
州政府自身は積極的ではなく、ひとえに環境保護団体や世論の圧力のためで、ハン
ティングの規制に関しても同様であるとNGOの友人達は言います。
ロイヤル・プリンセス島で伐採が止まっているのは、10年ほど前からウエイン
らがクマの保護区設置のキャンペーンやロビー活動を行ってきたことの成果です。
しかしまだ保護区化は実現されていません。彼等は内陸部のクーテニー地域で、も
う一つ白いグリズリーが生息する地域の保護区化を進めており、半分以上の地域が
指定される可能性があるようです。
現在BC州ではベア・ウオッチやWCWCなどの団体が、熊狩猟を全面禁止するよう
な住民投票の実現を目指す署名運動をしていました。これは大きな注目を集めてい
るようです。鮭の保護問題もそうなのですが、結局問題は例えば現在行われている
森林伐採などの産業界の活動をどこまで規制できるかということであり、この点は
容易ではありません。
BC州のEnironmental Mining Councilという団体を訪問するために、ビクトリ
アに出かけたとき、たまたま州政府主催の森林管理に関する会議が開かれていたの
で、一日だけのぞいてみましたが、そこでもある生物学者が新伐採コードの「生物
多様性の保護」に関するガイドラインの実現は、すでに多くの重要な森林が伐採会
社の支配下にあり、既存の森林区における伐採計画を根本的に見直さない限り、実
現困難であると訴えていました。
現時点での森林保護区は全体の6%くらいで、このままで行くと結局森林地域の
90%以上が皆伐されるため、重要な森林や動物の生息地は大きく破壊されること
になります。
同州政府は現在9%以上が保護区となり、近い将来12%の保護区化を達成する
と自画自賛していますが、実際には森林の無い岩石と雪に覆われた山岳地域が多く、
高度の低い森林の部分はまだ6%ほどだと環境NGOはみています。
州政府は新伐採コードや新しい環境アセスメント法の導入、住民参加による土地
(森林)利用計画づくりなど大変進歩的な政策を進めているように見えます。しかし
多くの地域で産業界の抵抗が強く、交渉は難航し違反行為があっても州政府自慢の
「厳しい罰則」も実施されていません。
また合意されたことが守られないなど、新方式はスクラップの危機に直面してい
ます。州政府の巧みな宣伝で、それらがうまく進行していると信じている一般市民
も多いようで、NGOの中には政府にしてやられたという思いもあるようです。
また保護区を増やすだけでなく、生産林を含む森林全体の管理を根本的に見直す
べきだと主張するコリーンやハーブ・ハモンドのような人々は政府から「過激派」
扱いされ、孤立させて「分割統治」するというNGO対策が取られているようです。
包括的土地利用計画の実施は挫折し、新伐採コードも環境保護団体、木材業界双
方から異なる理由で実施が困難という意見が出されています。ただし最近来日した
マキニス、グレイ・ジョーンズ両氏は、現在大幅に伐採量削減が進行し、クラクワ
ットでも先住民などのクレームで伐採が止まっていると言っていました。
変化が激しいこともあり、もう少し長い目で事態の推移を見る必要がありそうで
す(現場の活動家の見方と第三者の評価は、往々にして違うものですが…)。
-------(初出 JATAN NEWS No.30 97/1/30)
転載JATAN小倉(PBC00720@niftyserve.or.jp oguogu@jca.ax.apc.org)
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