JATAN>森林>JATAN NEWSよりカナダ再訪3
情報提供者 : 熱帯林行動ネットワーク
提供日付 : 1997/08/09
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース02 #532
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
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カナダ再訪 ー森林活動家と先住民との交流を通して考えたことー
【「北米公聴会」に参加して】
9月の終わりにマニトバ州のウィニペグで、「森林と持続可能な開発のための世界
委員会(WCFSD)」の北米公聴会が開催され、私も参加しました。この委員会はスウ
ェーデンの元首相のオーラ・ウルステンとインドネシアの元環境大臣のエミル・サ
リム氏が共同議長で、各国の元元首、環境大臣、現欧州議会議員、ウッズホール研
究所関係者らが委員になっています。
日本からは参議院議員の広中和歌子氏が委員をしており、カナダにも一日だけ参
加していました。私は3月にジャカルタで開かれた「アジア公聴会」にパネラーとし
て招待されており、今回は自主参加しました。この時の詳細は追って報告しますが、
これらの報告は「森林に関する政府間会議(IPF)」に提出されることになっており、
各地の住民、NGOらの生の声が国際的な場に提出されるという、それなりに意味の
ある機会であると思います。
特にBC州以外の州の住民にとっては、国際的にほとんど知られていない森林問題
の実態が話されたことは重要なことでした。それらの話を聞くと、BC州はまだまし
であるとますます実感しました。
各州の実例をいくつか紹介すると、
1)ニュー・ブラウンシュビック州(州面積はAlpacと大昭和がアルバータに持つ森
林と等しい)では、オリジナルな原生林はわずか5000haしか残っていません。その
残されたクリスマス・マウンテン地域の伐採が、今大問題になっており、大勢の若
い活動家が会議に参加し、絶望的な状況の中で何とか伐採を食い止めようと頑張っ
ていることを知りました。
しかしどこの州も歴史的に形成された木材産業、とりわけパルプ産業により、残
された森林はつぎつぎと切られ、追い詰められていることがよくわかります。
この状況をどうしたら止めることができるか、事態は大変深刻です。この州にも、
王子製紙の新聞用紙工場があるはずですし、米国という巨大市場や工場進出、北欧
企業による投資などもあり、大変な問題です。
2)オンタリオ州も歴史的に多くの森林がすでに伐採され、タマガミ地域で現在住
民、NGOによる道路封鎖が展開されて、多くの逮捕者が出ているようです。米国に
近い地域では伐採された木材がそのままトラックで米国に運ばれることも少なくな
いようです。
3)ケベック州からもグランド・カウンセル・オブ・クリーなど多くの先住民団体
の代表が来ていましたが、ここには大昭和製紙も進出しており、全体として森林伐
採や汚染問題もひどいようですし、フランス語圏のこの州の環境問題や先住民問題
は、多くの問題が山積みになっているようです。
4)アルバータ州で現在アルパックや大昭和と闘っている数少ないNGOであるWCWC
のグレイ・ジョーンズの話では、現在同社らは常軌を逸したような伐採を進めてお
り、環境問題の企業によるセルフ・モニタリング(つまり州政府自身は行わない)制
度が導入され、同州の森林の将来は「東京」によって決定されていると言われるよ
うに、外国の巨大企業による政治経済支配がますます強化されつつある状況だそう
です。
また州財政の危機から大学の教育、研究費が削減され、企業の資金援助による科
学研究の支配が強化されるという憂慮すべき状況にあります。
一方、過伐によるBC州の森林資源の減少、保護運動の高まりから、アルバータな
どの近隣州での伐採が急増するといった問題が発生しています。三菱や大昭和など
の同州への進出も、実は日本からでなく、BC州の現地パルプ会社による進出という
側面が強いようです。
5)マニトバ州は他の州同様、保護区になっている地域が2ヵ所しかなく、草原と
湖の多い北東部と森林地域の南西部に保護区がありますが、その保護区さえ伐採が
許可されている、という具合です。ここの先住民(オジェブエとクリー)は伝統的に
多くの活動家を輩出し、カナダの先住民団体のリーダーが多く出ている地域で、州
への影響力も大きいようですが、それでも森林伐採などの開発問題では押しまくら
れているのが実情です。
木材産業や鉱山会社の力があまりに強いためであり、また州政府との癒着の可能
性も大いに考えられます。
以前、亜寒帯林のNGOの国際会議がエドモントンで開かれたときに会ったことの
あるプルイット教授(マニトバ大学の亜寒帯林生態系研究ステーションを長年指導し
てきたカリブー研究者)がNGOの集会(北米NGO森林フォーラム)に講演に来ていたの
で、その後自宅におじゃまして話を伺いましたが、カリブーなどの政府の保護政策
について尋ねると、「何もしていない」と大変悲観的でした。
彼はもう正式には大学を定年で引退していますが、カリブーと亜寒帯林の生態系
の研究者として知られる名物教授で、人類の文明史から森林問題を分析し、「生態
学的な視点から文明を再構築しない限り、森林破壊は解決できない」と主張してい
ます。
この州はアルバータと並んで(それ以上に)、カナダで最も保守的な州の一つで、
資金力のない多くのNGOや先住民団体が頑張ってはいるものの、なかなか成果が上
がらない状況のようです。
-------(初出 JATAN NEWS No.31 97/2/28)
転載JATAN小倉(PBC00720@niftyserve.or.jp oguogu@jca.ax.apc.org)
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