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大深度>大深度地下問題通信 No.3
情報提供者 : 大深度地下利用問題を考える大都市圏連絡会 提供日付  : 2000/03/12 登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース04 #519 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

 大深度地下利用問題を考える大都市圏連絡会よりメイルで頂いた情報です。

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大深度地下利用問題通信 No3            2000.3.12
                       大深度地下利用問題を考える
                             大都市圏連絡会
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1.大深度地下利用法案閣議決定
 3月10日大深度地下法案が閣議決定された。当連絡会では現時点で法案を入
手していないが、3月10日付け毎日新聞の報道によると次のような内容である
という。
 (1) 大深度部分についても土地の所有権は及ぶが公益性の高い事業の場合、原
   則として補償は不要
 (2) 来年1月から首都圏、近畿圏、名古屋圏の中心部に施行
 (3) 井戸や温泉などで現実に地下を利用している所有者のみに損失補償の義務
 (4) 損失に対する補償請求は事業認可後、1年以内に限定
 (5) 事業認可は複数の都道府県にまたがる事業は国土交通省、それ以外は都道
   府県
 大都市圏のみへの適用のため高レベル廃棄物処分場などへの適用の可能性は無
くなったと考えられる。
 このうち、補償請求が事業認可後1年に限定されていることは非常に問題であ
る。地盤沈下などの災害が後になって起こってくることもあり得る。大深度地下
の構造物は造り直しが難しく、永久構造物にしなけらばならないため、メンテナ
ンス等が問題になる。宇都宮市大谷町では大谷石採掘が行われていたが、採石が
終了して数年後に跡地が陥没し大変な問題となった。大深度地下の開発も将来、
大きな問題を起こす可能性がある。事業者は半永久的に責任を持つようにすべき
ではないだろうか。

2.大深度地下での安全性に対する問題点
 3月8日地下鉄日比谷線の中目黒駅で脱線・衝突事故が起こり、4名の死者が
出るなど大惨事となった。原因は現時点ではまだ不明である。この事故は不幸中
の幸いとでも言うべきか、地上での事故であった。もし仮に地下の走行中に同様
の事故が起これば、救助等に時間がかかる上、乗客がパニックになる可能性もあ
り、更に被害が増大していただろう。
 もし大深度地下で同様な事故が起きた場合はどうなるのであろうか。大深度地
下を利用した鉄道では駅と駅の距離が長くなると言う特徴があり、更に救助が困
難になる。
 また、火災が起きた場合には、煙の排出が難しく、一酸化炭素中毒などにより
人命が失われる可能性が高い。その上、消火活動も困難を伴う。
 1972年、福井県の北陸トンネル内で寝台特急から出火する火災事故があっ
た。この事故ではトンネルの距離が長く、煙に巻かれ30名の死者と714名の
負傷者が出た。1979年、静岡県での日本坂トンネル事故ではトラック4台、
乗用車2台の追突・炎上が起こったが、消火が困難を極め5日間も炎上し続けた。
長期間炎上していたため壁体が崩壊したという。同様のことが大深度地下で起こ
れば、地下水圧が高いため、トンネルは崩壊、地下水が噴出し、地盤沈下につな
がる可能性もある。
 地下は安全性の面でも問題を抱えており、安易に開発すべきではない。

3.大深度地下特有の問題点
 当連絡会では地下開発は大深度だけでなく浅深度のものでも多くの問題がある
と考えているが、大深度に特有の問題として次のようなものを考えている。
 まず主な対象となる首都圏の大深度地下の地質はボーリングの密度も多くなく
よくわかっていない。例えば大深度地下利用の対象になると考えられる上総層群
はボーリングなどのデータも少なく、湧水源となる可能性のある砂層や地下水の
状況に関するデータは少ない。また調査のためにボーリングを多数行うと地盤環
境に影響を与えるという問題もある。
 大深度地下は水で満たされており、酸素が欠乏している。ここに酸素が供給さ
れると急激な酸化が起こり、酸欠空気が発生する。酸欠空気が井戸や工事現場に
噴出して事故を起こしたことは良く知られている。また上総層群に存在する黄鉄
鉱が酸化されると硫酸が発生するが、それが地下水汚染を引き起こす可能性も考
えられる。また地下水圧も高く工事への影響も考えられる。
 大深度の建築物は造り直しが難しく、半永久的な耐用年数を持たなければなら
ない。安易な開発は百年、千年の後に問題を引き起こす。また、人口の減少など
社会情勢の変化により施設の管理が維持出来なくなるようなことが起こった場合
も問題となる。
 大深度の地下開発は浅深度の地下開発より環境に良いという主張がある。しか
し、ここに述べたように大深度地下利用に特有の問題といったものがある。実際
には浅深度の地下開発が難しくなってきたため、更に開発を進めるために大深度
が持ち出されていることに注意したい。

4.地下鉄建設と大深度地下利用
 リニア中央新幹線と並んで、大深度地下の目的となっているのが地下鉄の建設
である。
 現在でも地下40mなどで地下鉄の建設は行われている。大深度地下の利用の
ための法律ができれば、地権者との調整がいらず、ルート短縮ができるというの
がメリットであると言われている。
 地下鉄の建設理由は通勤交雑の解消である。通勤混雑が問題となるのは、東京
一極集中のためである。大深度地下を利用した輸送力の増強よりも、抜本的な東
京一極集中の是正策を講じるべきである。そのためには地方分権を進めることや
都心部のオフィスに対して都市環境の向上にかかる費用を負担させるなどの政策
をとり分散化を進めるべきなのではないだろうか。そこまで抜本的な政策ではな
くても、ラッシュピーク時の地下鉄料金を上げることによって通勤時間の分散を
図るなど様々な方法がある。また今後、首都圏の人口は減少に向かうことも考慮
にいれるべきである。

5.地下工事に伴う地盤災害等の例
 地下工事に伴って、地下水位の低下、枯渇、地盤沈下、土地の陥没などの地下
公害、地盤災害が数多く起こっている。
 中央本線の岡谷・塩尻間の塩嶺トンネルの建設では破砕帯を切断したことによ
り大量の湧水が発生し、地下水位の低下、水涸れ、地盤沈下が見られた。出水防
止のため地盤凝固剤を使用したことからアルカリ汚染により魚の大量死や人体被
害が発生したという。
 1995年3月28日、近畿日本鉄道では東大阪線の生駒山地への地下80m
のトンネル建設工事で陥没事故が発生している。トンネル工事が破砕帯にぶつか
り、大量の湧水が発生して東大阪市の民家に大規模な陥没が発生した。
 大深度地下利用の対象となっている大都市圏でも様々な事故が起きている。
 横浜駅では、1970年頃から地下街や水道、下水道などの地下工事が行われ
たが、それに伴って地盤沈下が発生した。沈下量は71年には最大16.5cm、
3年間で44.0cmにも達した。
 1967年9月、上野不忍池では地下鉄千代田線の建設工事に伴う土砂崩れで
池の底が抜け、約3万トンの水がトンネルに流れ込む事故が起きた。また同じ千
代田線では北千住駅付近で不同沈下が起こり、建築物に対して補償が行われた。
 1990年1月、東北新幹線の御徒町トンネル工事で陥没事故が起きている。
シールド工法(圧気工法)による圧縮空気が路面を持ち上げ、土砂を吹き出すと
いう事故であった。地盤凝固剤の注入に問題があったという。
 1994年9月、大阪の地下鉄鶴見緑地線延伸工事現場で道路が長さ約10m
にわたって陥没した。試掘工事の埋め戻しが不十分だったためという。
 1995年12月17日、都営12号線の工事に伴い蔵前駅地下16.6mで
15m3の出水事故が起きた。この出水により地盤が25cm沈下し、近くのビ
ルが傾いた。また出水を止めるために水ガラス系の凝固剤を50m3も注入する
ことになった。この地点はボーリング地点から15mしか離れていなかったが、
地層構成がかなり異なっていたために出水が予想できなかった。
 1997年11月20日の読売新聞では地下鉄南北線と都営12号線が交差す
る港区の麻布十番地区で、地盤沈下により民家のひび割れ等が起こっていること
を伝えている。ひどいところでは20cmもの沈下があり、工事関係機関に寄せ
られた苦情は、延べ178件に上っているという。
 1999年6月8日、埼玉県鳩ケ谷市の埼玉高速鉄道地下鉄7号線南鳩ケ谷駅
で地下鉄工事に伴い幅約7m、長さ約23m、深さ約5mの陥没事故があった。
近くのパワーショベル3台が埋まったが、けが人等はなかった。近所では工事に
伴い家が傾く等の被害があったという。
 このように地下工事に伴う地盤沈下、陥没等の事故、災害は数多く起きている。
なお、ここに上げた例はたまたま収集できた事例であり、これ以外にも数多くの
地下工事による被害は発生している。
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                          編集・発行 清水孝彰
                                大上 譲

                                大深度地下利用問題を考える大都市圏連絡会
                  連絡先 東京都北区栄町38−1 101号
                      TEL/FAX 03−3927−1591
                               ohue@ma2.justnet.ne.jp
                                                  清水孝彰




  

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