IFAW>クジラ・ニュース No.1 前半
情報提供者 : 国際動物福祉基金
提供日付 : 2001/03/06
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース05 #415
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
先日発送した再開クジラ・ニュース第1号のテキスト版です。
少々長いため、2部に分けてアップします。
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<World View>
日本の調査捕鯨に国際社会が強く反発
ニタリクジラやマッコウクジラも“標的”に
昨年5月に日本が“調査”捕鯨を拡大し、北西太平洋で現在捕獲しているミン
ククジラに加えて、新たにニタリクジラとマッコウクジラも対象にするという計
画が報道されました。これに対して国際社会は、これまでにない強い反発を表明
しています。日本ではほとんど報道されなかったこの問題の経過を報告します。
昨年6月にオーストラリアで開催された国際捕鯨委員会(IWC)の科学委員
会では、日本の新たな調査捕鯨計画に対して過半数を超える参加者から批判を受
けました。なかでも世界6カ国9名の著名な研究者による同計画への26の疑問
には、日本政府から満足な回答がなく、科学的に見ても疑念の多いものとなりま
した。
それに続く7月のIWC本会議でも、クジラを殺して行う調査は捕鯨の管理に
重要とは言えず、いま必要な情報は非致死的調査(観察やDNA分析用に皮膚採
取などをする調査)から得られるなど、日本政府に調査許可を出さないように要
請する決議が可決されました。また沖縄サミットでも、ドイツ、アメリカ、イギ
リスの首脳が直接日本の首相や外務大臣に計画変更を求めましたが、サミット直
後の28日に水産庁は計画の強行を発表し、捕鯨船団は出航しました。これに対
して、アメリカ大統領とイギリス首相がそれぞれ日本の首相に書簡を送り、計画
に強く反対し、見直しを求めました。日本に立ち寄ったアメリカの国務長官も外
務大臣に捕鯨中止を強く求めています。
*それでも日本政府は今後も調査捕鯨を強行すると明言
8月には、アイルランド大使を始めとする15カ国(オーストリア、ブラジル、
フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、メキシコ、モナコ、
オランダ、ニュージーランド、スウェーデン、スイス、アメリカ、イギリス)の
高官が外務省まで赴き、公式に抗議を行いました。世界各国での抗議の声もさら
に強まり、海外主要メディアの論調も一挙に強硬なものとなりました。
9月13日、アメリカ商務長官が海洋資源保護を目的としたペリー修正法に基
づき、大統領に制裁を勧告。同日、アメリカ大統領は米国200海里内での日本
漁船の操業を禁止する制裁措置を発動しました。ここで初めて日本のメディアに
も火がつきましたが、捕鯨船団は40頭のミンククジラ、43頭のニタリクジラ
(肉・製品量はミンククジラの3〜5倍)、そして5頭のマッコウクジラを捕獲
して帰港。日本の駐米大使はクジラを殺さずに行う調査の拡大も含め、「国内で
議論すべき」と発言しました。
10月に入り、アメリカの環境派議員17名が、日本がIWC決議を無視して
調査捕鯨を続ける場合、国連安全保障理事会の常任国入りは支持するべきでない
という決議案を下院に提出。さらに12月、アメリカ大統領は捕鯨業界関連企業
の米国への輸出について追加措置の検討を指示しつつ、制裁決定は先送りしまし
た。
日本政府は来年以降も同様の捕鯨調査を強行すると明言しており、日本に対す
る世界の批判はさらに強まることが必至です。
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<News Topics>
ノルウェーが鯨肉輸出の解禁を表明
日本企業が輸入契約に合意との報道も
ノルウェー政府は、1月16日、商業捕鯨で捕獲したミンククジラに関して、
日本などへの輸出禁止を解除する方針を発表しました。ノルウェーはIWCの商
業捕鯨一時停止(モラトリアム)の決定にも「異議申し立て」をしており、
1993年から商業捕鯨を再開しています。
ノルウェーでは、クジラ肉は食べてもベーコンになるような脂身や皮を食べな
いため、高く売れる日本への輸出を求め、裁判沙汰にもなっています。また95
年には日本への輸出が可能になるかもしれないという噂が流れ、脂身の市場価格
が160倍以上に高騰したこともありました。当時のクジラの皮や脂身はまだ流
通会社の冷凍倉庫に眠っているとも言われ、輸入が再開されれば、これらの古い
脂身が日本の市場に出回る可能性が高くなります。ノルウェーからの報道によれ
ば、すでに日本の水産会社など4社が、ノルウェーの捕鯨業者と約130トンの
皮脂について、キロ当たり平均価格約2,200円(1,000〜4,000円)
で輸入契約に合意しているということです。
*ノルウェー政府の解禁理由にあるDNA鑑定を日本はやっていない
ノルウェー政府が記者会見で発表したところによれば、輸出許可を出すのはノ
ルウェーと同じようにクジラ製品のDNA鑑定を行い、ノルウェーで捕獲された
ミンククジラの各個体を追跡調査できる国に限られるということでした。しかし
日本は、この基準を満たしていないのです。
それは水産庁が昨年12月26日に発信したプレスリリースでも明らかです。
同リリースでは、水産庁が「鯨類管理適正化検討会」を設置し、その第1回検討
会を22日に開いたことが書かれていました。同時にその設立趣旨として、「従
来の通達による指導の下では混獲鯨の管理が徹底されず、無報告鯨の利用、さら
には密漁の隠れ蓑として利用される恐れがあるとの指摘がなされている」とし、
そのために検討会の主な検討事項の中に、「鯨類の適正管理としてのDNA分析
(登録)制度」を挙げているのです。
つまりこれは、日本ではノルウェー政府が言うようなDNA登録はまだできて
いなかったことを物語っています。今回のクジラ肉の輸出解禁は日本を主たる対
象としていますが、ノルウェー政府の発表には明らかな矛盾があります。
*ノルウェーで捕獲したクジラ肉は環境ホルモン物質に汚染の恐れも
もう一つ、このノルウェーのクジラ肉の輸出には大きな問題があります。それ
は同国が北東大西洋で捕獲しているミンククジラが、環境ホルモンにも挙げられ
ているPCB(ポリ塩化ビフェニール)やDDT(有機塩素系殺虫剤)などの有
機塩素系化学物質に汚染されている恐れがあるからです。実際、地元ノルウェー
の国立研究所や大学の研究者が行った調査では、ミンククジラの皮脂中に高い濃
度のPCBやDDTが検出されています。
このようにノルウェーがミンククジラの輸出禁止を解除する方針を発表したこ
とは、さまざまな矛盾と問題点を抱えていますが、これに関しては2月15日の
報道によれば、日本の水産庁はDNA登録システムを整備してノルウェーからの
輸入を認める方針を明らかにし、近く同国と協議を始める見込みということです。
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<クジラの豆知識>ミンククジラ
体長はおよそ6〜8メートル、体重も4、5トンと、いわゆる大型クジラの中
では最も小さい。ヒゲクジラ亜目、ナガスクジラ科。最近になって南極海のミン
ククジラは別種と分類され、「クロミンククジラ」という標準和名がついた。小
型なため小規模な沿岸捕鯨の対象ではあったが、より大型なクジラ種が枯渇した
後、北半球では1930年代から、南極海で1970年代から近代捕鯨によって
捕獲されるようになった。ワシントン条約(CITES)でも付属書I(商業的
国際取引の禁止)の種である。ノルウェーは昨年487頭、日本は479頭(う
ちクロミンク439頭)を捕獲している。
(出典:マーティン編著『クジラ・イルカ大図鑑』≪平凡社≫、IUCN
Red Data Book「dolphins, Porpoises and Whales of the World」、他)
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