大台ケ原>入山規制をやる気があるのか!
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2003/05/08 11:35
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース07 #00776
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
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環境省は入山規制をやる気があるのか!
検討委員全員賛成・奈良交通やる気充分
< 平成14年度第2回大台ヶ原自然再生推進計画調査・利用対策部会 >
2003年 3月 5日、奈良で開催された。
今回は討議資料が事前に委員に配布された。前回の議事録もかなり詳細なもの
が添付された。
会議冒頭、吉井環境省近畿地区自然保護事務所長から「利用対策部会は社会関
係の部会として位置付けているので、合意形成手法について検討してほしい」と
の挨拶があった。これは、以前に私が、合意形成は親会議がやるべきで、利用対
策部会には荷が重いのではないか、と質問したことへの答えでもあった。
事務局(八千代エンジニヤリング)から第1回部会の指摘事項の説明があった。
・自然再生について レベルの高い自然保護と自然体験を目指すべき。
・利用特性について 「登山の山」から「観光の山」に変化した。
「第三の山」の定義を暫定的に「新しいワイズユースの
山」として課題を検討する。
制度の不備を検討する。
・合意形成手法の検討 PDCA(plan do check action)
議事(1)大台ヶ原の利用についての基本的な考え方について
事務局から「検討フロー」「課題の整理」1.利用者の理解不足による自然環
境への負荷 2.過剰利用による自然環境への負荷 3.“自然公園”としての
利用対策の充実の説明。
「中心的な考え方」として
「昭和36年のドライブウエイの開通以来急増した人(および車両)の利用によっ
て自然環境へ大きなインパクトを与えていることは否めない。利用という人為に
起因すると考えられる自然環境への影響軽減および新たな利用のあり方の検討を
大台ヶ原の自然の再生と利用の両立を図る戦略的課題として把握し、必要な対策
について検討することを目的とし、検討の場を広く国民一般に拓き、新しいワイ
ズユース像を確立することを目指す。」とした。
「利用対策の方向性の検討・・利用対策の方向性のイメージ」
(1)自然の再生と利用の両立に資する利用形態に誘導する・・「質」の改善
1)大台ヶ原の自然環境への理解を深め、レベルの高い自然体験・環境学習
を実現する
2)物理的手法や規制による利用の誘導を図る
(2)入込人数(および車両)の量を減らし過剰利用によるインパクトを軽減す
る・「量」の適正化
1)入込人数の適正化を図る
2)入込台数の適正化を図る
次いで、環境省から「利用対策としてのこれまでの取り組みと課題」の説明があ
った。
「管理計画における利用対策の方針」について「これまでの取り組み状況」と「
課題等」が説明された が、他人事のような言い訳と否定的な見通しばかりで、責
任をとる態度と積極的な意欲が全くないのには驚いた。
【委員の発言】
「質の改善と量の適正化の両輪が提示されたことを評価する。環境省の説明で、入
込車両の適正化がいままで出来なかった理由を<採算がとれず、事業化できない。
駐車場の適地がない。関係機関の合意が得られていない。バスの運行が経済的に成
り立たない。>と書いてあるが、これから入山規制の実現に向かってみんなで努力
しようとする時にこの表現はおかしい。」
「市民との合意形成は勿論重要であるが、その前に地元関係自治体、関係業者との
合意形成が前提になる。その点が抜けているのではないか。入山規制についての小
委員会を部会の中につくって現地で会議を開いてはどうか。もし入山規制ができな
ければ、この部会の存在意義がなくなる。」
「環境省がいままで出来なかったのは何故か。検討したのか。奈良交通は取り組み
たい、充分採算に合うと言っている。」
「事務局ペーパーの三つの課題(上記)の主体は誰か、法的根拠は?地元の課題が
突破できない限り実現は不可能だ。新しい体制でやるのだという1項目がどうして
も必要。」
「地域振興の視点が重要。地域の協力が必要。」
「大台ヶ原の原生的自然をイメージとして持ちにくい。植物・動物といったサイエ
ンスだけではなく、説話、フォークロアに基づいた差別化、所謂マーケッテイング
の売りが必要ではないか。<すべての国民>といった場合対象別に利用者のニーズ
を考える必要がある。飛鳥のマイカー規制の成功例がある。学校のグランドを駐車
場に借りるとか、やってみる必要がある。」
「<新しい第三の山>では弱い。もっと強力なイメージを作ってほしい。利用者に
心が温まる鬱蒼とした森を奥深く見てほしい。大の字になってゆだねられるイメー
ジ。」
座長「(1)量の問題、入山規制は全員一致している。入山規制で地元と取り組ま
ないと、この部会は何なのかということになる。
(2)質の改善でも、文化面を含むきちんとしたメッセージ、新しいワイズ
ユースの中味の検討、用者の整理が必要。パークボランテイアではな
く専門性の高い指導者の育成が必要。
(3)地元優先の環境ガバナンスの形成が求められている。
この方向で実現を目指して歩き出したい。」
環境省「この方向で検討をお願いします。」
委員「地元が何と言おうと環境省はこうやるのだという姿勢がほしい。」
議事(2)大台ヶ原における自然再生に向けた合意形成手法の検討について
事務局より説明。平成14年度中に事務所のHPでアンケート調査を行なう。平成
15年度に現地利用者のアンケート(春季、秋季)、ワークショップ、パネルディス
カッションを開催する。検討会によるパブリックコメントの実施。
【委員の発言】
「スケジュール先行で中味が伴っていない。アンケートは本省のHPにも掲載して
ほしい。」
「アンケートで9割以上が入山規制に賛成であれば環境省はやるのか」
環境省「答えにくいが、検討の前提と理解してほしい。」
座長「重要な資料と受け止めよう」
座長「マイカー規制についてのワークショップを来年度早々に開けないか。現地の
状況も見たい。従来の啓発型ではなく、成功例の提示、大台ヶ原以外の専門家を招
いたシンポジュウムを開けないか。」
「大台ヶ原は<環境とは何か、環境保全活動とは何か>を考えさせてくれる場所だ。」
「大台ヶ原と地域社会との林業経済学的つながりは希薄だ。大台ヶ原の環境を守る
ことが地域を作っていくという視点を持つ方が大事であって、地元の意見を聞いた
らば、という話ではない。一昨年の鹿の駆除の時も地元は駆除賛成で環境問題とし
ての把握はなかった。環境と地域の新しい関係作りという視点をしっかり持たない
と成功しない。」
奈良交通「シャトルバスで参画したい。」吉熊観光「混雑日は少ない。入山規制で
なくてマイカー規制を。」
上北山村「場所の問題はきびしい。」
奈良県「観光拠点と考えている。シャトルバス乗り換えの適地を探す必要がある。」
委員「15年度中にシャトルバスに乗り換える駐車場予定地を確保することを目標に
すべし。環境省は腰が引けている。なんとしてもやるのだ、という姿勢を見せてほ
しい。」
環境省「すでに実施している国立公園では関係者が集って協議会を立ち上げている。
部会だけではできない。実験的な取り組みをしてほしい。」
委員「状況は実験の段階をすでに越えている。」
「再生に係わる学習活動の専門家の育成が必要。」
「ボランティアではなく権限と知識をもった指導者が必要。有料のガイドも必要。」
「環境省職員が通年大台ヶ原ビジターセンターに常駐せよ。ボランティアのせいに
するな。」
「従来地元民は政策を選べなかった。これからは地元を主体にしてほしい。」
「環境省職員は閉山中の冬山の素晴らしさを体験せよ。」
座長「他の国立公園でやっている事例が何故大台ヶ原ではできないのか、という議
論をすべきだ。」
環境省「今日の議論で来年度の具体的な方向がでた。部会は部会としてやっていき
たいと思う。」
【自然再生推進法との関係】
環境省から自然再生事業と自然再生推進法との関係について、現時点では自然再
生推進法の適用を考える状況に至っていない、と認識しているとの説明があった。
自然再生推進法の法的整備が終わった時点が見ものである。大台ヶ原と同じよう
な「予算措置」による調査は全国で10ヶ所ほど行われているようだが、自然再生推
進法の「先取り」と言われている。そう遠くない時点で自然再生推進法を適用して
くるシナリオがすでに出来ており、主だった委員には話が通じているように思える。
手の込んだ判りにくい手法を弄して国民を欺き、自分の思いを通す官僚の常套手段
だ。
【平成15年度のスケジュール】
2回程度検討会実施予定 ワークショップ・シンポジュウム・パネルディスカッシ
ョン
【傍聴者の発言】
谷 幸三本会谷事務局長が「アンケートの設問で、マイカー規制の項目で〈現状
のままでよい〉を削除すべし。自然再生への参加の項目で「苗木の植栽や森林管理
など」は森林部会で検討中の段階であるので削除すべし。」と発言し、削除するこ
とになった。「自然保護団体の提案も検討会の資料に入れるべきだ」
【不退転の決意】
閉会後、川上村と上北山村の代表と話したが、川上村に駐車場を作れる可能性が
大きいと積極的であった。上北山村は立地条件が厳しく、難しい問題はあるが、い
ろんな可能性を探してやれることからやろうと積極的である。吉熊観光の反対は当
然であるが、第三セクターの時代は終わった。大台ヶ原を金儲けの餌にして荒廃を
招いた主役に降板の時が来た。これからは贖罪のために、県民の宝としての大台ヶ
原の保全を考えるべきである。地元の若い人たちは将来を見通して、村民の財産で
ある大台ヶ原の保全を考え初めている。風が吹きはじめ、時が動き始めた。
市街地でアイドリングストップバスをいち早く導入して排気ガス対策に熱心な奈
良交通はシャトルバス1号車を大台ヶ原で走らせたい意向と聞く。奈良交通の積極
的姿勢は何よりも大きな支えだ。また、レイル&バスの効果が期待できる近鉄も反
対する理由はないであろう。
問題は肝腎の環境省だ。この日の発言のはしはしに、やる気のなさがうかがえた。
利用対策部会を創設して、入山規制を検討しろといったのは環境省ではないか。本
音はやる気がないのに部会を踊らせているとしたら許せない。4月からの1年が正
念場だ。不退転の決意で臨む。
2003年 3月13日 田村 義彦
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