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大台ケ原>どう生きてくるのか野生動物調査
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会 提供日付  : 2003/05/08 11:39 登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース07 #00777 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。


野生動物調査は自然再生にどう生きてくるのか?

 < 平成14年度第2回大台ヶ原自然再生推進計画調査・野生動物部会 >

 2003年 3月14日奈良で開催された。
 前回の部会で、委員から、調査の視点と目的を明確にする必要がある、と強い
要望があった。一方森林再生手法検討部会で「植生現況詳細図」が作成され、そ
れらを踏まえて事務局から説明があった。

議事(1)野生動物調査の目標と概要
1 目標
 森林生態系の機能・構造の回復と共に回復するであろう動物群集を予測するこ
とを目標とする。
2 動物調査の概要
 1)調査の視点
  ・ 現況植生タイプごとの動物群集の相違を把握することを目的とする調査
  ・ 動物群集の変化を時間軸のなかで捉えることを目的とする調査
 2)調査対象分類群
 3)調査地
    1.調査地域の位置づけ
    2.調査地設定の視点
  ・ 下層植生を重視した森林構造の違い 倒木、枯損木
  ・ 撹乱の種類と程度(シカの影響等)
  ・ 防鹿柵の影響・効果
  ・ 植生調査と動物調査の調査地をなるべく一致させる
 4)解析の基本方針
 5)ニホンジカ保護管理計画に基づくシカの生息状況・密度の把握に留意する。
「野生動物部会フロー図」「動物調査における調査地設定基準とする植生区分」

【委員の発言】
「散逸している資料を集めること。写真も。」「調査関係者の討議によってコン
センサスを図ってほしい。」
「調査の視点としてシカの食害だけではなくドライブウエー、入山者の影響を検
討すべし。」
「現在では無くなってしまった森林構造をいかに把握しておくか。」
「土壌の調査が重要。」
「過去との比較は72年と比較するのか、もっとさかのぼるのか。」
「昔の大台を教えてほしい」
「生態系の機能の回復の表現は不正確。何をもって森林生態系の回復というか大
議論になるだろう。」
「植物の回復と動物の回復は恐らく一致しないだろう。」
「シカ以外の動物で、昔と変わっているという具体例はあるのか」
「両生類の調査が重要。」
「69年にはコウモリが乱舞していたが、現在は木が育って見えない。昔のデータ
はあるが、現在は調査地がない。特別保護地区の木を切って調査するのか。」
「動物の視点からの植生調査が必要。」「環境を把握するための鳥の調査が必要。」

議事(2)各動物分類群ごとの調査内容及び方法について
 哺乳類調査、鳥類調査、両生類(爬虫類)調査、昆虫類等調査について目的、
調査方法、調査項目、
調査地、調査時期、解析方法などの説明があった。

【委員の発言】
「鳥の調査の過去のデータは1994年と99年の数字がある。その頃既には大台ヶ原
はかなり変わっていた。それ以前の数字は無いが、経験的に昔の大台ヶ原との変
化は明らかである。」
座長「定量的に表現できなくても、客観性が保証されれば質的なものを生かした
い。」
「森林再生手法部会へ提言したい。部会間相互乗り入れが必要。」

【林野庁】「この部会で検討されたことを国有林にも反映させたい。」
【上北山村】「村として最大の関心事である利用対策に反映させてほしい。」

 環境省から自然再生推進法との関連について「現時点で自然再生推進法を適用
して、基本的な考え方を示して協議会を呼びかける段階ではない。将来、条件が
整った段階で、自然再生推進法を適用するかどうか検討して判断したい。」との
説明があった。
 いままで7回の検討会に出席または傍聴してきたが、各検討委員の「自然再生」
のイメージにはかなり大きなへだたりがあるように感じる。あと1年でまとまる
のだろうか。拙速で取り返しのつかないダメージを加えないでほしい。

【傍聴者の発言】
 谷 幸三本会事務局長「調査による自然破壊に注意されたい。標本はビジター
センターに展示すること。調査をして何を再生しようとするのか」
 横田楽岳人森林再生手法検討部会委員「始めての体系的調査で、多くの動物が
出てくるであろうが、それをもって多様性が高いと判断しないでほしい。釘をさ
しておく。調査地点に多くの人間が出入りして破壊する可能性があるので注意し
てほしい。森林再生手法部会と調整する必要がある。環境省が持つデータを出し
てほしい。」
 宮前洋一自然再生検討会委員「野生動物調査が自然再生のどういう場所にどう
生きてくるのか。何のために調査するのか。問題点は何か。費用対効果を明確に
せよ。」

 最初から気になっていたが、野生動物調査が大台ヶ原の自然再生にどう生かさ
れるのかというイメージがどうしてもはっきりしない。しかし、野生動物部会の
検討委員の間ではほとんど論議にならないし、この日の傍聴席からの発言に対し
ても事務局、委員の返事は噛み合わない。事務局に至っては、今後のモニタリン
グの基礎データにしてほしい、と言う始末。アセスではないし将来の問題でもな
い。来年3月に自然再生事業の方針を決めることになっていて、そこにこの調査
をどのように生かすかが求められているのだが、調査主体の事務局にも委員諸侯
にもその切実感があまり見受けられないのは何故だろう。技術屋・調査屋の常と
して調査をすれば満足では今回は困るのだ。

 環境省は「期待される動物相」を求めている。改めて調査しなくても、近年、
熊とカモシカを見かけることが少なくなった。一方、カラスが観光客のゴミをあ
さり、キツネを見かける。立山ではドライブウエーを登って来た里の動物の報告
がある。調査報告はこのあたりをどう評価し、あるべき姿をどう描くのか。

 数量化できない質的評価をすることは、まともな定量的データがほとんどない
大台ヶ原では大切なことだと思う。そうであるなら余計、旧態依然としたおざな
りな調査に税金を浪費すべきではなく、しっかりした学術調査に時間と金をかけ
るべきである。

 ここに1985年の『特定自然環境地域保全管理計画策定調査報告書』がある。20
年前、環境庁は“野生動物との神秘的ふれあい計画”を思いついた。大台ヶ原の
けもの道にシェルターを造り、その中に人間が隠れて野生動物との“神秘的な出
合い”を待つという、荒唐無稽の計画であったが、自然保護団体・弁護士会・マ
スコミなどの反対で撤回した。しかし、官僚のメンツ維持のこじつけ策として「
直接的ふれあい」が駄目なら、糞や足跡との「間接的ふれあい」でいこうと自然
観察会を計画し、そのための調査報告書がこれである。今回の調査主体である自
然環境研究センターの前身、日本野生生物研究センターが調査した。本会は当時、
政策追認のいい加減な調査をしないように現地で抗議した。調査期間は今回同様
1年足らずであった。環境省が政策前提に行なう調査はいつもこの程度なのだろ
うか。
 大台ヶ原では従来このような中途半端な調査が繰返されただけで、しっかりし
た学術調査が行なわれたことがない。そのために、今回の様に「過去のデータが
ない」と大騒ぎになるわけだが、どうやら今回も又々同じ轍を踏むことになりそ
うだ。
 大台ヶ原の原生的自然が初めて迎える“自然再生”と呼ばれる大変動が、この
ような不充分な調査データで決められるのは心配だ。
                     2003年 3月16日     田村 義彦




  

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