大台ケ原>H15年度第1回自然再生検討会
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2003/11/02 17:02
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース08 #00217
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
昭和30年代前半までの状況を取戻すことを目標
<平成15年度第1回大台ヶ原自然再生検討会>
平成15年の8ヶ月が過ぎ去った29日、ようやくにして最初の会議が開かれた。
7月に霞ヶ関から赴任した新しい所長を迎えた最初の会議であった。
議事の内容については、「議事要旨」が環境省近畿地区自然保護事務所のHPに
掲載されるようになったので、昨年のような詳細なテープ起しは止めて問題点だ
けを記す。
● 自然再生推進法始動
昨年度は、すべての会議に霞ヶ関の自然環境計画課課長補佐が出席して、検討
中の大台ヶ原自然再生計画と自然再生推進法との関係についてあいまいな、いい
わけのような説明を繰返してきたが(昨年度の各会議のレポート参照)、この会
議で初めて、自然再生推進法の説明だけで終わった。会議終了後、その理由を糺
したがとぼけられた。新所長を霞ヶ関から迎え、いよいよ自然再生推進法の本格
的始動というところか。
ちなみに、釧路湿原では、自然再生推進法に基づく自然再生協議会の組織化が
いよいよ始まったようだが、それを呼びかける「実施者」になることを環境省か
ら求められたNPO法人トラストサルーン釧路が、その要請を断わった。
この重い決断のニュースが、マスコミは勿論、自然保護運動の中でも全く流れ
ないのはどうしたことだ。情けなくも恥ずかしいことだが、自然保護運動は本当
に駄目になってしまったものだ。当初から、行政に媚びるNPOのいかがわしさ
を指摘してきたが、トラストサルーン釧路の、行政に対して自らの基本路線を崩
さない姿勢に敬意を表し、今後の活動に注目したい。
● 自然再生目標
環境省は当初「国立公園指定時の鬱蒼とした森林に戻したい」と言った。国立
公園指定は1936年のことである。70年前は訪れる人も稀な、狼もいたであろう魑
魅魍魎の世界であったと考えられる。
ところがその後環境省は、50年短縮して「20年前の環境庁所管時」に変更した。
変更理由の説明はなかった。
そして、この会議でまたまた「仮置き」を前提に「昭和30年代前半までの状況
を取戻す」と変更された。全く定見がない。よく「猫の目農政」と揶揄されるが、
農水省だけでなく環境省官僚も、さしたる根拠もなしに思いつきで原生的自然に
手を加えようとしている。もし官僚の心根に、大台ヶ原は環境省の土地だから何
をしてもいいのだ、という思いがあるとすれば、国有化の声を上げたのは市民で
あったことを忘れてもらっては困る。大台ヶ原は官僚の私物ではない。
それでは、40年以上前の昭和30年代前半(1955年〜59年)はどういう状態であ
ったのか。
昭和33年に自然破壊の元凶であるドライブウエーが開通し、それ以後山上台地
の様相は一変した。翌年東大台遊歩道が作られ、36年には駐車場が完成した。第
三セクターの(株)吉野熊野観光開発が設立され、駐車場中心に大台荘、山の家、
売店などが建てられて「観光名所」として宣伝された。
一方、昭和34年の伊勢湾台風と36年の第二室戸台風でトウヒ林が被害を受け、
林床の乾燥による母樹の衰弱、後継樹の減少、ミヤコザサの密度増加などに加え
て、ドライブウエー開通で押しかけた観光客の踏み荒らし・盗採などが原生的自
然にダメージを与えた。
「昭和30年代前半」と簡単に括るが、ドライブウエー開通前に戻すのか、台風
前に戻すのか、それとも、それ以後のどの時点に戻すのか、何も明記されていな
い。根拠を明らかにした上で、明確にすべきである。
● 酸性霧(雨)の調査を要求
30年余に及ぶ長期モニタリング調査から森林衰退の原因究明を続けている河野
昭一京大名誉教授が、2003年9月9日に正木峠〜日出ヶ岳の稜線で、ブナとオオ
イタヤメイゲツの葉の辺縁部から全面に拡がる顕著な枯損の症状を調査して、枯
損原因としては酸性降下物の影響が顕著であり、これまでの丹沢山系のブナ帯、
大台ヶ原での酸性降下物に関する既知の測定値に照らしても、枯損原因は大気環
境に起因することはほとんど疑いがないと感想を述べられたことを、傍聴席から
報告して、検討会として酸性霧(雨)の調査をすることを求めた。座長は森林生
態系部会で検討するようにと述べた。
● 環境省高級官僚の天下り
昨年度は、親会議と称される自然再生検討会の下に、「森林再生手法検討部会」
「野生動物部会」「利用対策部会」の3部会があったが、本年度から前2者が統
合されて「森林生態系部会」となった。そして、昨年度、各検討会の事務局を担
っていたコンサル会社3社が1社に絞られ、その下で植物調査を担当するコンサ
ル1社が残り、もう1社は姿を消した。
そして、事務局を独占したコンサル会社の副理事長と、植物調査担当のコンサ
ル会社の部長にそれぞれ就任したのが、今年環境省を退官した高級官僚であった
ことを、この会議の席上配布された名刺で知った。
2003年10月6日 田村 義彦
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