大台ケ原>歩道整備基本計画最終案
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2003/11/02 17:47
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース08 #00219
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
大台ヶ原周回線歩道整備基本計画最終案 ---- 市民の要望95%認める
この基本計画の策定は昨年から始まった。2002年9月9日、現地大台ヶ原に、
関係機関、自然保護団体などを集めて環境省・奈良県による現地説明会が開かれ
た。
環境省の直轄事業を奈良県に施工委任したこともあったが、奈良県が事業計画
を事前に公開説明したことはわれわれの知る限り初めてのことであった。環境省
の公開指示があってのこととはいえ、密室奈良県政にとっては有史以来の画期的
なできごとであり、県民として評価した。
環境省はこの説明会に白紙で臨み、施工が必要と思われる個所でフランクな意
見交換が行なわれたが、参加者からは総じて改修工事が必要であるという強い意
見は出なかった。
このあと環境省は利用者動向調査、整備に関する意識調査(現地でのアンケー
ト1265名、インターネットによる調査30名)を行なった。アンケートの意見では、
現地景観を大きく変えない整備と自然保護優先を望む声が多かった。
その結果、整備目標として、多様な利用者に配慮した歩道の整備、大台ヶ原の
自然景観に配慮した歩道の整備、歩道利用に伴う植生や浸食への負担の軽減、が
きめられ、翌年の2003年2月27日に、基本計画説明会が関係者を集めて奈良で開
催され、具体的な整備計画が提示された。
しかし、その内容は1999・2000両年に行なわれた木道「空中回廊」への反省が
みられず、旧態依然とした観光客の利用促進に役立つ歩き易さのための整備であ
って、納得し難いものであった。再考を求め、図面が出来る8月に再度の説明を
求めた。
そして、2003年8月26日、2回目の現地説明会が開催された。参加者は第1回
とほぼ同じメンバーであったが、長年、国立自然公園における登山道工事による
自然破壊の告発を続けている河野昭一京大名誉教授と大台ヶ原の歩道整備につい
て関西支部長と連名で政策提言をした日本山岳会自然保護担当理事の篠崎 仁氏
が急遽加わった。
整備予定コースを歩きながら、図面に基づいて率直な意見交換が行なわれたが、
やはり参加者からは整備に積極的な声はなく、メディアは『過剰設備批判受け、
危険な個所のみに、必要最低限度の整備を提案』と報道した。
本会はこの間、環境省に対して、02年 9月10日に『大台ヶ原周回線歩道整備基
本計画策定への提言』、03年3月8日に『大台ヶ原周回線歩道整備基本計画の凍結
と入山規制早期実現を再度求める要望書』、03年 7月19日に『大台ヶ原周回線整
備基本計画についての質問並びに要望書』などを提出すると共に、多くの文章で
歩道整備の基本理念を訴え続けた。
そして、最終案ができた。03年10月 8日図面を前に環境省の説明を受けた。環
境省は開口一番、「現地説明会で出た要望の95%を取り入れて最終案を作った」
と言った。瞬間、耳を疑った。
詳細は省略するが、その概要は
・基本的に、コンクリートを使った階段工事は一切行なわない。
・予定していた休憩ベンチ、休憩所は取り止める。
・整備後30年を経たコンクリート階段で、基礎が流水で洗われて浮いている部分
は撤去して、大杉谷の
水成岩を使った石組みをする。
・大雨で洗掘された個所は側壁を石組みで補強する。「雨のときは川になるが我
慢してほしい」との環
境省の弁。(これは従来、われわれが言ってきたことである)
・尾根からの水路を歩道が横断するためにぬかるむ個所は太丸太を2本並べて様
子をみる。
・樹木の根が露出しているところに木製デッキをかぶせない。看板も立てない。
・破損したコンクリート偽木は撤去し、長く出ている鉄杭は切断する。
・コンクリートを使わない石組みが流水で崩れた場合など、手仕事で直せる程度
の補修予算はあるので、 歩道の様子をみながら順応的整備をしていきたい。
これで、最も怖れていた「空中回廊」の延長、コンクリート石段、木製デッキ
の羅列は消えた。正直、楽観していなかっただけに、この最終案は信じ難いもの
であった。歩道を「登山道」と認識したという説明はなかったが、観光客が歩き
易いようにする整備でないことは確かである。しかも、説明を受けた環境省担当
者が、不承不承市民の要望をきいてやったという態度ではなく、自分もそう思う
という笑顔であったのが何よりも嬉しかった。環境省の決断を多としたい。そし
て今後、業者選定、施工監督など現場のご苦労は奈良県にかかるであろうが、環
境省の認識に基づいて大台ヶ原の原生的自然保全のために、ぜひご努力をお願い
したい。
工事施工は来年になる。「工事中も見に行ってください」の声を背に、環境省
を出た。「時々雨」の予報をくつがえして秋の空は爽やかに晴れわたっていた。
思えば、私の病気で5年間活動を休止していた本会の、活動再開のきっかけに
なったのが、鹿の捕殺と「空中回廊」であった。その時すでに、周回線歩道全体
の測量は終わっていたと聞いた。それ以来4年近くかかったが、河野昭一京大名
誉教授、佐藤 謙北海学園大学教授、日本山岳会をはじめ全国の多くの方々のお
かげで、ようやくここまでこられた。みなさまへ感謝して報告にかえ、重ねて今
後のご支援をお願いしたい。
2003年10月8日 田村 義彦
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