大台ケ原>H15年度第2回利用対策部会
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2004/01/18 14:17
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース08 #00364
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
環境省 地元の合意抜きに駐車場候補地公表・・
<平成15年度 第2回大台ヶ原自然再生検討会利用対策部会>
◆ 駐車場候補地の例示
2003年12月 2日、標題の会議が奈良で開催された。第1回部会の約束に基づいて
マイカー規制についての具体案「大台ヶ原における新しい利用のあり方メニュー
(案)」が環境省から初めて提示された。ところがその中に、駐車場候補地として
4ケ所、辻堂山附近造成・和佐又山残土置場・川上村白川渡・ドライブウエイ路肩
空間の4案が例示されていた。 私は、10月中旬に、京都のあるシンポ会場で偶
然会った利用対策部会座長から、次の部会で「4案」を公表する予定だと聞かされ
て、「駐車場問題を地元の合意抜きに突然発表することは、できる話を壊す危険が
ある」と反対した。
◆ 行政連絡会議のウソ
一方、環境省は、11月13日にマイカー規制に関わる各行政機関の担当者、責任者
を招いて「行政連絡会議」を開いていた。「メニュー(案)」を12月 2日の利用対
策部会にかけてよいかどうか、事実関係に間違いがないかどうかの合意を求め、
「承認された」と報告した。ところが、間髪入れずに関係機関の出席者から「承認
していない」と否定された。そして、何度かのやりとりのあげく、この「承認」発
言は環境省から撤回された。
撤回されたとはいえ、承認されなかったことは「行政連絡会議」出席者の共通認
識であり、すぐばれるウソを何故つくのか、児戯に類するお粗末さである。このよ
うな信じ難いことが公開の公式の席で行なわれたことは、市民にとっては驚嘆すべ
き出来事である。ごく最近出版された『役人はなぜウソをつくのか』にもこのよう
なケースの解説は見当たらない。余りにもお粗末過ぎるからであろう。
しかし、関係行政機関の合意を求めて果たせず、にもかかわらず合意を得たとウ
ソをつき、そのウソがばれて更に不信を買うような愚行を、行政のプロの環境省官
僚がなぜやるのか。マイカー規制実施にとって大きなマイナスでしかない。だから
こそ、あえてその愚行を為したのか。軽率を装った周到なシナリオか・・。
◆ 環境省曰く「事を為したい」
気を取り直して筆を進める。
例えば今年から乗鞍岳のマイカー規制を実施した岐阜県では、地元の村での話し
合いを水面下で2000年から始め、2001年に連絡協議会を立ち上げて2003年実施に持
ち込んでいる。
駐車場問題はいろんな利害が絡む問題だけに、地元行政機関・関係住民などと環
境省との水面下を含む事前交渉・合意が必要であることは容易に想像がつく。それ
抜きに、突然候補地を公表することは軽率のそしりを免れず、成る話も成らなくす
る危険性がある。委員からテクニック(行政手法)の問題だという発言もあったが、
テクニックの問題だけではなく誠意、熱意の問題である。部会にはマスコミの取材
記者も当然来ているので、この案が報道されれば、地元では疑心暗鬼による混乱が
起きる可能性がある。私は、長い時間をかけても粘り強く慎重に事を進めて、なん
としてもマイカー規制を実現したいと、残された短い人生をかけているだけに、環
境省の“軽挙妄動”が納得できず、「環境省の本音はマイカー規制をつぶしたいの
か」と迫ったが、環境省から「環境省も事を為したい」という発言があり、その言
葉を信じて、それ以上の発言を収めた。
◆ NPOの本音
ところで、環境省に対する私の疑念について、自然再生を業とするNPOの委員
から「今は根回しをする時代ではない。すでに公表されたのだからもっと前向きに
考えよう」とご立派な発言があった。環境省と深く関わり、政治手法に長けたNP
Oにとって根回しは日常茶飯事であろうにも拘わらず、よくぞこのような白々しい
偽善的発言ができたものだ。尤も、私の環境省批判を我が事の如くわずらわしく聞
いたNPOにはそれなりの事情もあるであろうし、その心情は察するに余りある。
自然再生事業のおこぼれを焦るNPOにとっては、金にならないマイカー規制の成
否は関心の外というよりは、むしろ邪魔な話なのであろう。
◆ 具体的には・・
驚いたことに「川上村白川渡」については、川上村の出席者から「平成16年度か
らオートキャンプ場にすることが11月に決定した」と報告された。そうであるなら、
リストアップ出来ないはずではないのか。また、川上村にとっては、白屋地区の移
転先を探すことが焦眉の急であろうから、この場所はその適地かもしれない。
ともあれ、環境省がどのような根拠に基づいてリストアップしたのか知る由もな
いが、周到な事前調査抜きに杜撰な原案を作成したコンサルには高額の税金が支払
われるわけであり、市民として看過できることではない。
「ドライブウエイ路肩空間」にしても、私以外の委員からも反対意見が出たうえ、
更に奈良県の道路管理者からも候補地から削除する要望が出された。毎日新聞は『
部会では、「自然保護の趣旨に合わない」などとした否定的意見が大勢を占め、残
る3案を中心に議論を進めることにした。』と報じているが、何故かリストからは
削除されなかったのである。
地元の合意が得られていない思いつきのような案が適当に環境省の資料に掲載さ
れ、今の時点で公表されたのは何故か、軽挙妄動でないとすれば「地元の協力が得
られなかったため」というマイカー規制潰しの口実作りと考えるのは下司の勘繰り
であろうか。
◆ 駐車場候補地公表後の地元の反応。
案の定地元ではマスコミ報道などを見て、地元を無視した環境省の進め方への疑
問や悲観的な見通しすら住民の中から出始めていると聞く。予想した最悪の事態が
予感されて、暗澹たる思いである。
地元には永年にわたる国に対する根強い不信感があるが、それを氷解する環境省
の粘り強い努力抜きには事は成らない。そして、併せて地元住民の熟慮を希いたい。
一方、上北山村のHP【上北山BBS】にも早速、大台フアンから疑問・意見が
寄せられている。最初はうわさや短い新聞記事からの誤解や間違いがあったが、村
当局の慎重な書き込みもあって、メールをやり取りする中で正確な理解に近づいて
いる。そして、注目に値するのは、行動制限に対する不満を残しながらも、「排気
ガスが森林に影響を及ぼしていることは間違いないでしょうし、仕方がないことか
もしれません。」「検討段階ということでほっとしています。しかし、ここらへん
で考えるということはたいせつなことだと思いました。」「環境問題と地域振興の
問題はとても重要ですよね。」「環境保全という見地からすると当然なのかもしれ
ませんね。」など、マイカー規制を真剣に考える記述が増えてきたことである。利
用者のアンケートもそうであったが、市民に対して誠実に詳しく説明すれば、理解
が得られる状況に来ているように感じる。しかし、現在の村当局には、当事者であ
るにもかかわらず答える具体的内容を持たされていない困惑が紙面から読み取れ、
残念である。
また、メールに記されている身障者への配慮を求める提言は傾聴に値する。連絡
協議会で論議されて然るべきである。
◆ 砂上の楼閣か、「大台ヶ原における新しい利用のあり方メニュー(案)」
(1)情報提供の充実
(2)ビジターセンターの充実
(3)快適利用の促進
(4)山上駐車場の周辺の活用
(5)ガイドツアー等自然体験、環境教育メニューの充実
(6)予約制有料キャンプ地の設置
(7)登山道・自然観察路の充実
(8)利用調整地区(西大台)
(9)マイカー規制
極めて重要な問題を、事の軽重を問わず、ただ羅列しただけには唖然とした。
(1)から(8)までの各項目はマイカー規制実施を前提にしているにもかかわら
ず、大前提の「マイカー規制」が何故最後の(9)なのか。
思えば本会が20年来要望してきた事柄が(9)のマイカー規制以外に(2)(5)
(6)(7)(8)と5項目も列記されていて、本来であれば喜ぶべきであろうが、
かえって気が沈む。個々の項目の説明を読んでも、環境省が実現への熱意をもって
リストアップしたとは受け取れない。環境省は「順番に意味はない」と答えたが、
「どうせやらないのだから、適当に並べておけ」の本音が伝わってくる。
言うまでもなく一つ一つの項目を実現するためには、初めての事業だけに多くの
人材と叡智と時間と予算が必要であるが、例の自然再生屋さんのNPOは「予算が
つけば簡単にできる」とうそぶいた。自然再生事業のおこぼれしか目にないのだか
ら、この「項目の羅列」が、売れ残りの黒くなったバナナか腐臭を放つ魚のように
しか映らないのが当然であろう。
◆ 来春、地元で住民意見交換会開催
環境省は次回の利用対策部会を来年2月中旬に開く予定であるが、その前の1月
下旬か2月上旬に地元でワークショップを開いて「メニュー(案)」を説明し、意
見を求める予定という。環境省の誠実な説明と、住民が率直な思いを納得できるま
でぶつけることを期待したい。民主主義が未成熟であることをよいことに住民を蔑
視してきた官僚に、「合意形成」が形式でないことを痛感させる機会でもある。
部会の最後に、環境省は、マイカー規制のための連絡協議会を立ち上げる作業に
入る、と明言した。「土付きのままゴロンと出した。どう調理するかはこれからだ。
どうすれば実現するか、一つ一つ詰めていきたい。」という言葉に一抹の期待をか
けて筆を擱く。
2003年12月6日 田村 義彦
|