大台ケ原>H15年度第2回ニホンジカ検討会
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2004/03/04 11:57
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース08 #00512
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
鹿の剥皮とトウヒ枯死との因果関係不明・鹿捕殺の効果疑問
それでも捕殺を続けるのか・・
<平成15年度第2回大台ヶ原ニホンジカ保護管理検討会>
2004(平成16年)2月18日、奈良において表記の検討会が開催された。
議題
(1)報告事項
・個体数調整について
・影響軽減対策等について
・生息状況モニタリング調査結果について
・植生モニタリング調査ワーキンググループ開催について
(2)検討事項
・個体数調整について
・捕獲方法について
・植生モニタリング調査について
2001(平成13)年11月に特定計画に基づく「大台ヶ原ニホンジカ保護管理計画」
が策定され、2002年度から向こう5年間、毎年43〜45頭を捕殺することになり、
2002年に25頭、2003年に45頭、合計70頭が捕殺された。その結果を評価して2004年
度の方針が検討された。
● 鹿の剥皮とトウヒ枯死との因果関係はわからない(データ割愛)
「樹皮喰い」は針葉樹・広葉樹の合計で、トウヒは同定されていないが、それに
しても、上のデータが示すように、鹿がトウヒの樹皮を食べているのはごく僅かで
あることがはっきりわかる。環境省の持論である“トウヒ枯死犯人説”を立証する
データは出てこなかった。逆に冤罪説を立証することになった。
調査区内の樹木のうち、枯死又は倒れている樹木の割合を1995年以来調べている
が、1998年以降6年間、急激な増加はみられない。環境省が解説標識に「本当に近
い将来大台ヶ原の森林はなくなる」と書いていることは「本当ではない」ことが証
明された。間違った記述の解説は書き直すべきである。
更に、枯死・倒木の割合と剥皮の割合の調査も行なわれているが、その結果を踏
まえて環境省は「鹿の剥皮が枯死に結びつくかどうか明確にはわからない」と報告
した。
結局は、この2年間で70頭の鹿を捕殺したが、捕殺が大台ヶ原の生態系保全に
寄与したことを立証するデータは得られなかった。検討会の論議もその問題に触れ
ることなく、「更に調べよう」ということで終った。
もともとこの捕殺計画は、霞ヶ関官僚のメンツのために初めに鹿捕殺ありきと、
科学的なデータのないまま見切り発車した。それだけに、環境省にとって科学的デ
ータなど最早必要ないのであろうが、「検討」させられる委員にとっては迷惑な話
ではある。専門家だけに、ここに書いたようなことは先刻承知の上で追認せざるを
得ない所謂検討会の悪しき姿が浮かび上がった。
● 鹿を70頭捕殺した効果は本当にあったのか・・ (データ割愛)
「A1地区」は東大台の中にあって、ここで鹿捕殺が行なわれた。環境省は「2001
年度調査時に比べると(捕殺によって2003年度は)鹿密度が約半分になった」ので
捕殺の効果はあったという。しかし、比較される2001年のデータはN6地点75.12頭
1ヶ所だけで、2003年は他の調査地点I,II,III,IV4ヶ所を加えて調査をして平均
値48.36頭を出して「約半分」に減ったという。しかもN6地点では2003年は96.71頭
と増加している。これでは余りにも乱暴で、統計処理以前の問題である。“科学的
データ”などと言えたものではない。勿論サンプル数の少なさは統計処理に値しな
い。検討委員からも「N6だけで結論づけるのは早い」と批判が出た。しかし、他の
委員からの発言はなく、「半分になった」という評価が否定されることはなかった。
同様のことが、鹿捕殺を行なわなかった「A2地区」(西大台)でもいえる。こち
らでは当然「密度が上がる」というのが環境省の期待値であるが、対照にされる
2001年の測定地点はやはり2003年の半分の3ヶ所だけで、しかもN3地点は16.66頭か
ら12.63頭に下がっている。N5も12.01頭から9.60頭に下がっている。
それを、2003年にはN5の測定誤差とも思われる高値55.20頭とV地点の高値64.31頭
を加えて平均値25.00頭の高値を出して、「2001年に比べて密度は上がった」と結
論づけている。強引に過ぎる。
データのばらつきも大き過ぎる感じはするが、フィールドワークの限界、アバウ
トな糞粒法の限界かもしれない。それだけに一つの数字が結論を変える。データに
作為があるとも思わないが、逆にメディアも取材に来ている公開の席に、このよう
な説得性を欠く粗雑なデータを平然と出したことは市民に対する愚弄でもある。こ
のような“データ処理”が科学の美名の下に平然と許されるとすれば官僚に出来な
いことは何もないことになる。
科学を絶対視するつもりはないが、先に書いたように、科学的根拠を持たずに官
僚の不謬性維持のために強引に見切り発車した鹿捕殺計画であったにしても、時を
経てデータが蓄積されれば、何らかの科学的説明が出てくるのかとも思ったが、却
って一層混迷化していく様相が窺がえて暗澹たる思いである。
環境省は上記の評価を踏まえた2004年度の方針として、2002年に捕殺できなかっ
た「取り残し」20頭を上乗せして64頭を目指して4月から捕殺を継続することにな
った。その“目的達成”のために2日間くらい入山禁止にして猟友会に頼め、とい
う発言もあった。事務局から、くくりわな使用の提案があったが、委員から熊がか
かる危険性が指摘され、一方特定計画策定時にくくりわなは使用しないとしている
ので特定計画を変更しなければならないという指摘もあり、当分従来通りの方法で
実施をして後日検討することになった。次の検討会は夏頃開催の予定。
2004年2月19日 田村 義彦
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