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大台ケ原>第2回サイン計画懇話会
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会 提供日付  : 2004/03/04 12:00 登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース08 #00513 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

最小限度の標識設置にとどめる

            < 第2回 大台ヶ原地区サイン計画懇話会 >

 2004年2月20日、奈良において表記の懇話会が開かれた。昨年12月17日に開かれ
た第1回懇話会で配布された資料は都市公園的発想が色濃く、論議も、地図を持た
ない読めない観光客が多いから、その人達のためにサインは必要だという意見が多
かったので、サイン増設必至かと危機感を抱いて第2回を待ったが、その懸念は杞
憂であった。現在220あるサインが整理統合されて約半数に減らされた。
 ところが、開会冒頭「必要があるから設置したので何故撤去するのか、誰が決め
たのか」という驚くべき質問が委員から出た。数日前に委員に送付された資料の中
に環境省の「大台ヶ原周回線歩道整備基本計画における整備の方向性」が書かれて
あり、その中で「課題の整理と対策」として「標識についての現況調査では、配置、
現況と内容との不整合、老朽化、意匠の不統一が問題点として出されている。
現況の環境変化により標識の内容と現況とが不整合なもの、老朽化して転倒してい
るもの、ササにより隠れているものなど、機能が保たれていない標識がある。」と
指摘され、それを受けて「サイン計画基本方針」では「整備方針」として「機能の
低下したものを撤去し、既存サインの活用と統合による整理」が明記されている。
やみくもに撤去するわけではない。この資料は数日前に委員に送付されており読め
ばわかる。また、今日はじめての話ではなく、昨年第1回の懇話会ですでに事業の
目的、内容を論議している。その論議を把握せず、事前に送付された資料もしっか
り読まないで会議に臨み、屁理屈にもならない質問をすることを恥じるべきだ。
「誰が決めた」とは、自分の存在は一体何なのだ、そこで何をしているのか、と自
分に尋ねてもらうしかない懇話会の性格をわきまえない愚劣な質問だ。事務局も唖
然として答える術がなかった。本来はまともに取り合う必要もない質問であったが、
その応酬に無駄な時間が費やされ、論議すべき具体的検討が出来ずに終った。問わ
れるべきは懇話会の質だ。つまらないことを先に書いてこの紙面さえも汚してしま
ったが、立派な基本方針が策定されたのでそれを述べる。

I.大台ヶ原周回線歩道整備基本計画における整備の方向性
整備すべき施設の基本的考え方 
 1)標識の種類による適切な配置と、利用者が理解しやすい表記に配慮した整備を
  基本とする。
 2)周辺景観との調和を図るため、意匠、構造などに配慮した整備を基本とする。
  標識整備の方向性
   記名標識 老朽化した標識は計画的に更新する。
   案内標識 分岐点に設置する。シオカラ谷ゾーンの地形、標高差、足廻りの
        装備を記載。
        適切な間隔の誘導標識。距離表記。利用者の体力にあわせたコー
        ス選定。
   解説標識 内容を確認・検討した上で、更新を図る。
   注意標識 老朽化した標識は更新。歩道整備とあわせた注意内容の検討。
   境界標識 更新時に材質・意匠を統一するよう管理者に働きかける。

II.サイン計画の基本理念、基本方針の設定 
 1)計画の視点
  大台ヶ原周回線歩道整基本計画・・・多様な利用者層及び大台ヶ原の自然景観
  に配慮した最小限の整備
 2)基本理念 
  大台ヶ原の雄大な自然にあこがれ、多くの人々が当地を訪れる。その反面、厳
  しい自然条件をもつ地域でもある。本サイン計画においては、それらの自然・
  地形等の条件をふまえ、多様な利用者が安全、安心して歩くことができ、利用
  に関するマナー啓発等、適正な利用を推進するためのサイン計画とする。なお、
  自然景観保全の観点から最小限のサインの整備にとどめる。
 3)基本方針
  1] 利用者・・・・・・多様な利用者に対応したサイン計画
  2] 適正利用の促進・・サインによる自然環境保全の啓発。あわせて、ビジタ
             ーセンターにおいても情報発信機能を充実、適正な利
             用の促進を図る。
  3] 整備・・・・・・・既存サインの活用と統合
  柔軟な対応・・新規に設置する標識はその機能をおよそ10年とし、見直しを柔
         軟に行なう。
         老朽化、破損はこまめに修理。日常的な維持管理を充実する。
  自然景観との調和・・環境省標準型を基本。既存サインについても改修の機会
  に全体との統一を図る。
 
III.サインシステムの検討(紙面の都合で割愛) 
 1)サインシステムの検討範囲
 2)象地の概況   
 3)インシステムの問題と課題
 4)サインシステムの基本的な考え方 9項目 

 この方針に合意する。第1回懇話会後の短期間に、具体的な設置案を含めて、こ
こまでしっかりまとめた事務局に敬意を表する。そのために、奈良県と環境省の間
でかなり厳しい意見交換があったようで、開会冒頭に奈良県から、この案ではサイ
ン設置数が少なくて不満だ、という異例の挨拶があった。しかし奈良県は環境省に
委任された立場であり、国の方針に従うべきは当然である。奈良県の増設案を認め
なかった環境省の姿勢を多としたい。第1回懇話会の後、増設必至かと感じ、頼み
は「周回線歩道整備基本計画」の基本方針「最小限の整備のとどめる」しかないと、
わらにもすがる思いでいただけに、その基本方針を貫いた環境省の毅然とした姿勢
に敬意を表したい。

 環境省は近年大きく変わった。特に昨年の「周回線歩道整備基本計画」に於いて、
コペルニクス的転換を遂げた。従来の姿勢に比べて率直に言って信じ難いことであ
った。一方、奈良県の旧態依然とした頑迷固陋の姿勢には度し難いものを感じる。
いくら、時代と県民に背を向けた県政とはいえ、もうこの当りで時代の流れに目を
覚まさないと、正に日本の最後の県ですらなくなる危険性がある。先の県知事選挙
に来県した中田横浜市長が、街頭演説で「奈良県は日本最低の県だ」と県民に訴え
たのを聞いて私は恥ずかしかった。ところが、当選した知事は県職員に対して、「
臥薪嘗胆、県民の声に耐えろ」と言ったと新聞は報じた。評すべき言葉もない、絶
望的な感覚だ。「求められる謙虚な県政」と新聞は報じたが、反省・謙虚は微塵も
感じられない。
 このような県政下では望むべきもないが、環境庁時代に全てを県に任せたこと、
集団施設地区を県が私物化していることなどから大台ヶ原は俺のものだ、という思
い上がった意識が県役人に牢固としてあるが、環境省が大台ヶ原の管理に積極的に
乗り出して来た今、その間違った縄張り意識はいい加減に払拭すべきである。環境
省の制止で消えて良かったが駐車場周辺に6基もの案内看板を県が立てようとした
のには呆れる。このようなことを聞くと、もともと国有化の理想に反して本州製紙
に寄付をさせて取得した集団施設地区はいさぎよく国に寄付をして、天下りを食わ
せるためのものでしかない赤字まみれの三セクも県民のために解消して大台ヶ原か
ら下りるべきである、という思いが益々強くなる。今の環境省はかつての環境庁で
はない。過去を踏まえて前に進もうとしている。その足を引っ張っているのが奈良
県だ。時代錯誤もいい加減にすべきだ。

 歩道から出ないように設置するロープの支柱に禁止ワッペンを貼りたいという奈
良県の案を、ロープが張ってあれば禁止なのだ、と環境省は認めなかったのは正論
である。一方、検討委員からも、立入禁止のサイン、ロープがもっと必要だという
意見が強く出た。しかし、ロープは立入禁止の意思表示であって、ロープで物理的
に防げるわけがない。物理的に防ぐにはフェンスしかない。物見遊山の観光客にと
って、旅の恥は掻き捨てという悪しき風習のあるこの國の風土では、観光地に来れ
ばいささか非日常的なアウトロウ的心情になりやすいのであろう。立入禁止を実効
あらしめるにはマイカー規制を実施して、入山者の質の改善を図り、大台ヶ原を物
見遊山の観光地でなくする以外に方法はない。厳しい入山規制が実施されている世
界の国立公園で歩道にロープが張られているような情けない光景が果たしてあるの
だろうか、寡聞にして知らない。規制は手法ではなく民度の問題であろう。

 従来の規制ロープは設置後時が経ち、しっかり張られているところは少なく、切
れて垂れ下がったり、地面に這ったりしたままで放置されてきた。これでは立入禁
止の強い意思表示にはならない。この度新しく設置された暁には、「基本方針」に
あるように「日常的な維持管理」をしっか行なって、垂れ下がったまま放置するよ
うなことは絶対にしないでほしい。 
 林野庁から樹名板設置の提案があったが、後日の解説標識の検討に併せて利用者
教育のテーマの中で検討することになった。

 サイン懇話会はこれで終った。つまらない問題に時間を取られて、各設置場所で
の具体的検討が充分できなかったのが残念である。発言できなかった意見はメモに
して提出した。傍聴席からも発言があったが、誘導標識はまだ半分くらい減らせた
と思う。どのように最終決定されるのか気掛かりである。
 2004、05の両年度で可能な限りのサインの撤去・整理統合・新設が行なわれると
のこと、環境省の毅然とした姿勢と奈良県の覚醒を望む。
                      2004年2月21日   田村 義彦


  

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