大台ケ原>第3回 大台ヶ原自然再生検討会
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2004/03/27 09:35
登録経由地 : 自然環境フォーラム プレスリリース08 #00575
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
中間報告の形で「大台ヶ原自然再生推進計画〔案〕」提示
<平成15年度 第3回 大台ヶ原自然再生検討会>
平成16(2004)年3月24日に奈良に於いて表記の検討会が開催された。当初の予
定では、この会議に於いて「大台ヶ原自然再生推進計画」が策定されるはずであっ
たが、調査不十分の項目がいくつかあったため、今後春・夏の調査をしたうえで9
月頃を目途に最終決定が延期された。そこで、いままで森林生態系部会・利用対策
部会・野生動物保護管理検討会でそれぞれ検討されてきた事項が一つにまとめられ
て、一応中間報告という形で大台ヶ原自然再生推進計画〔案〕が提示された。
議事
(1)平成15年度調査結果等の概要について
1)植生タイプ別ポテンシャル調査
<平成15年度第2回森林生態系部会> レポート参照
<第2回森林生態系部会 >
<平成15年度第3回森林生態系部会>
2)野生動物に関する調査
3)利用による自然環境への影響調査
4)これまでの対策等の評価分析
<第2回森林生態系部会>
5)「大台ヶ原における自然再生と新しい利用のあり方に関する懇談会」報告
(2)来年度計画について
【1】自然再生推進計画策定のための来年度調査(計画策定時までに実施しとり
まとめる調査)
1.再生ポテンシャル調査(基礎データ)
1)続調査(今年度と同じ調査で通年データをとる必要があるもの)
結実量調査 菌根菌調査 環境条件に関する調査
2)追加調査(新規調査、補足的に新たな方法でデータを取るものを含む)
倒木・根株調査 岩の調査 埋土種子調査 スズタケ、ミヤコザサの
分布調査 林床植生調査 コケ被土調査 スズタケの生育状況調査
(VIAのみで実施)
ミヤマシキミの分布調査(VIBのみで実施)
2.野生動物に関する調査(基礎データ)
<植生タイプ別調査> 哺乳類 鳥類 昆虫類等
<地域特性把握調査> 哺乳類 爬虫類 両性類 昆虫類等 ガ類
3.利用による自然環境への影響調査 植物 土壌動物 鳥類
4.過去の対策等の評価分析(追加) 既設木道・立入防止柵などの効果確
認調査
5.利用対策に関する調査
【2】自然再生推進計画の実施に向けた調査(策定後の計画実施に必要な調査で、
データ収集の時期的必要性から来年度当初に着手し、計画策定後も継続する
調査)
1.マイカー規制導入に向けた調査
2.利用調整地区設定に向けた調査
【3】モニタリング調査(計画の実施状況をフォローするため計画に盛り込んだう
えで行う調査)
1.植生・動物・利用による影響等にかかるモニタリング調査
2. シカによる植生への影響をモニタリングするための調査項目の追加等
2−1.緊急対策地区(自然再生推進計画調査実施地)
1)毎木調査における剥皮調査は秋に実施すること
2)下層植生:自然再生推進計画調査(6植生タイプ7ヶ所)
3)緊急対策地区のA2地区(西大台地区)
2−2.重点監視地区・周辺部
(1)調査場所 (2)調査内容:上層木・下層植生
2−3.その他
(1)トウヒ樹齢の計測 (2)ササの現存量の算出 (3)ミヤコザサの稈
高分布
【3】長期的視点に立って行う大台ヶ原の自然環境に関する調査(計画実施と並行
して行う調査、将来その結果に応じ計画への反映も検討)
参考1.河野昭一京大名誉教授による年輪年代学的な解析
参考2.環境省酸性雨調査モニタリング(土壌・植生)調査
◆ 奈良縣の発言
奈良県担当責任者から、「【2】(1)の現地調査の中で県・村などが協力してい
く問題点を具体的に調整できる機構を提示してほしい。コストはどこが負担するの
か、国の覚悟があるのか。協議会に下駄を預けられてもやりにくい情勢にある。国
の自然再生計画が地方の協議会の中で駄目になりかねない。マイカー期制について
は県内に非常な反応があり、県としても混乱している状況を理解してほしい。」と、
先の利用対策部会同様の重要な発言があった。
環境省は、いきなり協議会ではなく、準備会などで関係自治体と協議したいと理
解を示した。
座長からは、まず計画を建て、予算の話はその次だという正論がでた。行政手続
きとしてそうであることは県も承知しているであろうが、先立つものはなんとかと
いうこともあり、大台ヶ原に関わる自治体の窮迫した財政状況がさせた当然の発言
であろう。
因みにこの検討会に肝腎の上北山村が委員に委嘱されていないのは環境省の当初
の見通しの甘さとして大いなる反省材料である。傍聴席にいた上北山村代表の発言
がなかったのは、県が代弁したからであろう。
(3)大台ヶ原自然再生推進計画(案)について
2002年11月以来、1年5ヶ月にわたって森林生態系部会・利用対策部会・ニホンジ
カ保護管理検討会で検討してきた計画内容が一つにまとめられて、一応中間報告と
いう形で提示された。平成13(2001)年11月策定のニホンジカ保護管理計画が、当
面の計画を平成18年度までとして、この計画に含まれた。
利用対策部会に関わる「新しい利用のあり方推進計画」については、前回の第3
回部会で検討された内容を反映して大幅に修文されて、わかりやすいものになって
いた。部会座長から異論はなかった。
◆ 検討委員の不思議な発言
ところが、検討会委員から多くのクレームがつき、その中に、この計画案の公表
には慎重であってもらいたいと注文がついた。
いままで検討会は全て公開で行われてきた。メディアが取材し報道された。ささ
やかなれど、弊会のHPでも事実をゆがめないように細心の注意を払いながらレポ
ートしてきた。個人的には日本山岳会のHPにも掲載した。
環境省は2月8日の上北山村の懇談会で、利用対策部会で最終的にまとまった三本
柱・8項目の「新しい利用のありかた推進計画」を、出席者60名に説明して広く意
見を求めた。この計画案にはそれと同じことが書いてあるだけである。すでに多く
の人々の目にふれ、メディアも関心を抱いていることである。確かに上記の追加調
査が8月まで行われて書き加えられるであろうが、それによって三本柱・8項目が大
きく変わることはまずないであろう。だとすれば、何を今更「慎重」でなければな
らないのか全くわからない。計画案を市民の批判に曝すことに躊躇はない。
更に、森林生態系部会委員から、この計画案は環境省が書いたもので部会では検
討していない、という発言があった。確かに、先の第3回部会では座長は、議論を
しないと委員の意見を求めなかったことを記憶している。不思議に思ったが、何か
考えがあってのことだろうと納得した。それが突然ここに出てきたので驚いた。意
識的に検討しないのでは、常識的には検討委員の責任放棄ではないだろうか。
この計画案の内容は、従来森林生態系部会で検討してきたことがまとめられただ
けであることは利用対策部会と同様である。利用対策部会ではこの計画案を毎回検
討してきた。確かに利用対策部会でも事務局案に納得できず、細かい意見を出し、
環境省も納得すれば大幅の修文が行われたことが一度ならずあった。事務局案に問
題があれば部会で検討して改善を求めるべきで、あえて検討をせずに不満を述べる
理由が私にはわからない。環境省が部会の意見を無視して独断専行するのであれば
懸命の説得をするか、委員を辞任するしかない。
検討委員は、行政が出してくる提案、コンサルのデータに対して、専門家ぶって
評論家風にケチをつけ、注文を出せば済む、行政は聞き流すだけ、という従来の慣
行を守っておればよいのであろうか。少なくとも私が僅かに体験した利用対策部会
では、環境省は意見を聞き流すことはなく、委員の意見は計画案に反映している。
検討委員に決定権がないことは当然である。だからといって、評論家然としてお
ればよいのであろうか。検討会委員として経験の深い方々の発言の真意は、私如き
新参者には律し難いものがある。深慮遠謀があるのであろうか。中間報告とはいえ、
計画案の屋台骨が出来上がった土壇場で聞かされたこれらの発言は、魑魅魍魎の世
界に引きずり込まれた思いがして釈然としない。閉会後、傍聴席からあえて冗談め
かして、もう少し真面目にやってもらいたいと虚しい発言をしたが失笑をかっただ
けであろう。
官僚が変容しようとしているときに、少なくとも専門性においていかがわしい自
称専門家を、使い易いからと侍らせるような検討会はそろそろ止めにすべきではな
いか。御用学者の養成組織に国民の税金を使うことは許されることではない。確か
な研究者に予算をつけて確かなデータを収集し、その上で確かな方針を求めるべき
だといえば、無いものねだりであろうか。行政は審議会・検討会の在り方について
メスを入れるべき時ではないか。検討会公開の決断の次に行政に架せられた課題で
あろう。
今後の予定は4月か5月に全検討委員の大台ヶ原現地視察、8月に再び上北山村
でワークショップ、計画案に追加調査の結果を書き加え、各部会で検討したうえで
9月頃に「大台ヶ原自然再生推進計画」が策定される。
2004年3月25日 田村 義彦
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