大台ケ原>大峰山系の静かな古道に危険な梯子
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2004/10/04 14:09
登録経由地 : prweb情報受付 01 #00519
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
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大峰山系「前鬼」 静かな古道の危険な階段!
<「聖地」を踏みしめる歓びを奪う整備道 >
この写真は一体何処だと思われますか?(写真省略)
大峯の主稜線(奥駈道)へのアプローチ、前鬼から太古の辻までに取り付けられた木
製階段の写真です。このルートをご存知の方がご覧になったら、さぞ落胆されること
でしょう。登った経験の無い方でも、大峯の姿に残念な思いを持たれるのではないで
しょうか。
先掲の「修験道と登山を冒涜する奥駈道整備」にもありますように、環境省は奥駈
道へのアプローチの整備はしても本道は手を入れていない・・という返答だったよう
ですが、この整備を見て、本道さえ手を加えなければいい・と言えるでしょうか。
私はこの階段が取り付けられた意味が理解できず、悲しみとも怒りとも分からない
感情と落胆を感じています。個人的な話で恐縮ですが、釈迦ヶ岳は私の心を捉えて離
さない山です。最近は十津川村の旭口からの楽なコースが人気のようですが、弥山、
八経ヶ岳から縦走路の先に見えていた釈迦ヶ岳への最後の急登を登りきり、釈迦像に
迎えられた時の感動は勿論のこと、前鬼からのコースも登り甲斐のある大峯らしいコ
ースといえるでしょう。
稜線に出るまでの深い森の中の辛い坂を登りきり、太古の辻手前のブッシュを過ぎ、
笹道に出て、稜線とその向こうに空が見えた時は、何ともいえない喜びを感じます。
その後、心地よい稜線を歩き、いよいよ目前に迫る釈迦頂上を目指そうという時、深
仙の宿でここでしか味わえない絶景・大峯の奇岩、深い谷や森を見ながら誰もが英気
を養うでしょう。そして、もうひと頑張りすると、釈迦像が迎えてくれます。
そして、累々と続く吉野熊野の山々を目にした時、人と自然の関わりを心の底から感
じとれるのでした。
今年3月末、10年振りくらいでまだ雪の残る釈迦ヶ岳に前鬼から登りました。聖天
の森の上部の、以前急斜面に架かっていた梯子や丸太を並べた控えめな階段は、老朽
化のためでしょうか、弥山に取り付けられているものと同じ木製階段が、まるで遊歩
道のように延びているのを見て愕然としました。その時、両童子岩の下辺りまでだっ
た階段が、更に太古の辻近くまで延びるとは、夢にも思っていませんでしたので、9
月の再訪はショッキングなものでした。一瞬我目を疑い立ち尽くしました。「唖然」
という言葉は、こういう時に使うのだと思います。言葉に出来ない感情です。登れど
登れど続く階段に、「大峯に申し訳ない・・」と辛く悲しい感情を抑えることが出来
なくなっていました。
登山者に登山そのものを辞めたくさせるような、登山道の整備とは一体何でしょう
か?私に再びあの階段を登る気力を与えてくれるのは、山の力なのか、人の力なのか、
もう二度と登ることは無いのか・・今はわかりません。
2004年9月25日 河内由美子
< 訪問者を危険に晒しかねない世界遺産「大峰」の登山道整備 >
大峰主稜線へのアプローチに設置されたこの木製階段は、「過剰整備」というより
「間違った整備」です。単に過剰なだけであれば、安全性の確保という理由付けが出
来なくもありませんが(個人的にはそのような説明も受け入れられませんが)、この
整備階段は写真で見る限り、安全どころか極めて危険です。
ある程度登山経験のある人なら誰もが実感していることでしょうが、急な下りでの
階段の連続は非常に疲れます。一段一段降りる度に膝に応えますし、さらに写真のよ
うな梯子状の階段ですと、バランスを取るのにもそれなりに神経を使います。階段の
横に踏跡でもあれば、登山者は自然とそちらを選ぶのではないでしょうか? その方
が歩き易いことを、身体が知っているのです。
登山中の事故は、登りより下りで起きやすいと言われています。
運動生理学的にも、階段の下りは自然な土の斜面を下るよりも膝関節への衝撃、負
担が大きいことが判っており、長い急な階段を降り続けることで生じる下肢への疲労
の蓄積と神経の消耗が、下山時の転落事故の誘因となりうることは容易に想像出来ま
す。
弥山方面からの奥駈の場合、このルートから前鬼へ下るのが一般的です。地形図で
調べてみますと、太古ノ辻から前鬼宿坊まで標高差約700m、直線距離にして約2km
です。そして最新の現地調査報告では、この大峰屈指の急勾配を木製階段が稜線近く
まで延々と続いているとの事です。
奥駈で消耗し切った身体でこの長い階段を下れというのは、転落事故に遭えという
ようなものです。
また木ですから、濡れたり苔が生えるとさらに滑りやすく、危険な事この上ありませ
ん。木に滑り止めの浅い溝を刻んだ位では、濡れると実際にはあまり効果がないこと
は、登山経験のある人なら誰もが実感していることです。
あの木製階段を下りる際の危険は、「大峰奥駈道」を辿ってきた人のみに降りかか
るものではなく、マイカー登山で前鬼から釈迦ヶ岳を往復する人も例外ではありませ
ん。ツアーで下山する人達が連鎖的に転落、という最悪のケースも十分に想定されま
す。
大台ヶ原では、登山者が歩くことで自然に出来た横の踏み跡を「植生破壊」だとし
て、登山者を拘束するために空中回廊と呼ばれる長い木道を設置しましたが、足の運
びやすい場所を臨機応変に選んでいくという人間の自然な感覚を無視した愚行と言え
ます。最近環境省は撤去も検討すると言いだしました。
世界遺産の「聖地」で転落事故の不幸が起きる前に、元の自然の道への復元を大至
急検討すべきだと思います。
2004年9月26日 T.Kazushino(医師)
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