大台ケ原>これがアルパインキャプチャーだ
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会
提供日付 : 2005/01/01 21:20
登録経由地 : prweb情報受付 01 #00724
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
これがアルパインキャプチャー(シカ捕殺用ワナ)だ !
10月13日、歩道の台風被害状況を見まわっているとき、偶然にシカを捕獲するため
のワナ(アルパインキャプチャー)を発見した。場所は駐車場から尾鷲辻に向かう通
称中道の途中から元木谷の方に5分ほど下ったところ。一面ササで覆われた緩やかな
傾斜地に黒い鉄柱が並んで、そこだけ異様な雰囲気に包まれている。何だろうと思っ
て近寄って見ると、話に聞いていた環境省がシカを捕殺するためのワナであった。
このワナはニュージーランド製の輸入品で、一辺が10mの六角形をしており、高さ
が3mある支柱により支えられている。普段は写真のように緑色のネットがたたまれ
た状態になっている。シカが餌に誘い込まれて中に入ったら、隠れた捕獲者が引き金
に結びつけたワイヤーを直接引っ張るか、遠隔操作でネットが2.5mの高さに撥ね上
がり、中のシカを閉じ込めるというものだ。
2〜3週間餌付けをしておいてシカが安心して集まったところを文字通り一網打尽に
するという、実に人間の悪賢さを見せつけるやり方だと思うが、実際にはそう甘くは
ないらしい。シカが警戒して入らなかったり、ネットをとび越えて逃げたりして、重
い資材を運んで苦労して設置しても1回にせいぜい2〜3頭しかとれず、麻酔銃で撃
つほうがよほど手っ取り早いということで、2002年に捕殺した25頭のうちアルパイン
キャプチャーで7頭、麻酔銃で18頭、2003年に45頭捕殺したうちアルパインキャプチ
ャーで10頭、麻酔銃で35頭である。
まだ捕獲までには餌付け期間がしばらくあるのだろう、支柱の周辺にネットを引き
上げるための黒い重石が転がったままになっていて、まだ吊り下げられてはいなかっ
た。
ワナの中央付近に小さなくぼみがある。もしかしたら餌が置いてあったのかもしれ
ない。計画では草を固めてサイコロ状にしたヘイキューブという餌や塩などが捕殺前
日まで給餌されることになっている。設置者の計画どおりにいけば、これがシカたち
の最後の晩餐になるわけだ。そう考えるとこの小さなくぼみまでが、見る人をなにか
厳粛な気持ちにさせる。
実際には、シカはここで殺されるわけではない。麻酔銃で眠らされて、どこかに運
ばれ、そこで総務省「動物の処分方法についての指針」に基づき、化学的あるいは物
理的方法をもってできるだけ苦痛を与えないように丁重にあの世に送られることにな
る。シカにとってなんとありがたい環境省の配慮であろうか。
ここでお断りしておくが、筆者も筆者の所属する大台ケ原・大峰の自然を守る会も、
シカの駆除一般に反対しているわけではない。また、地元のみなさんが生活のために
鳥や獣を狩猟することに反対する考えもまったくない。問題は自然環境を守ることを
国民から委託されている環境省が、科学的証明もないままに大台ケ原のトウヒ林の枯
死原因をシカに押し付けて、枯葉一枚ひろってもいけない国立公園の特別保護地区で
221頭ものシカを駆除し、動物園のような人為的管理の場にしようとしていることに
ある。
右の写真を見られたい。(写真割愛) これは環境省がワナの周辺2ケ所に立てた
看板である。捕殺のたびに何回も使われて補修のテープが痛々しい看板だが、そこに
は「これは調査のために設置しています。キケン(朱書き)ですので近寄らないで下
さい」と書かれている。なぜはっきりと鹿を捕獲して殺すために設置していると書か
ないのか。
「調査のため」というのは全くのウソではない。シカは薬殺されたあと解剖され、歯
(年齢)、胃の内容物(食性)、腎臓周辺の脂肪量(栄養状態)、メスの子宮(繁殖
状態)などが調査される。だが、この捕殺は調査が目的ではない。調査のためなら
221頭ものシカを殺す必要はない。これらのシカたちは大台ケ原の植生を守るためと
いう理由で殺されるのだ。
環境省は自分たちの決定に本当に自信があるなら、自然保護という使命に誇りを持
っているなら、はっきりと「自然を守るためにシカに犠牲になってもらう」と看板に
書くべきである。捕殺を調査と言い逃れるような姑息なやりかたは、環境省への信頼
を貶めるだけだ。
筆者のワナ発見後、15日に本会の田村義彦会長と河内由美子常任委員が尾鷲道踏査
の途中で立ち寄られたが、まだワナは重石を吊らずにそのままあったそうだ。いまし
ばらく餌付け期間が続くのか、あるいはアルパインキャプチャーによる捕獲は効率が
悪いので殆ど麻酔銃による捕獲に切り替えながら形だけワナによる捕獲も続けている
ように装っているのかもしれない。
いずれにせよ、この巨大なワナは環境省の歴史に残る犯罪のシンボルである。いつ
までここにあるかわからないが、近日中に大台を訪ねる方は是非立ち寄られることを
お勧めする。
環境省は2002年度に25頭(計画45頭)、2003年度に45頭(計画45頭)を捕殺した。
2004年度は計画44頭に2002年度の捕り残し20頭を加算した64頭を捕殺する予定である
が、やがて年内にも実態が報告されるであろう。
2004年10月14日 来住弘之
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シカ捕殺 準備完了
10月25日、再度大台ケ原の元木谷を訪れた。
先日訪れたとき地面に置いてあった黒い重石が今回は吊り下げられていた。
前回、シカの餌置き場ではないかと思ったくぼみはやはりそうだった。くぼみには白
い塩があふれるように入れられ、周囲には草を固めた餌(ヘイキューブ)が散乱して
いた。
えさ場の周囲を囲むように細いワイヤ−が張られ、コードを通じてソーラー発電器
と自動車用バッテリーにつながり、さらにコードはアンテナに連結ばれている。
シカがワイヤーに触れると無線で信号が送られるようになっているようだ。逆に捕
殺者から無線操作でネットが引き上げられるようになっていると思われるが、現場で
はそこまで確認できなかった。
アルパインキャプチャーはいつでもシカを捕獲できる状態にあった。どこかに見張
りの人間が隠れているのではないかと思い、周辺を探したが見つけられなかった。本
当に誰もいなかったのか、それとも巧みに隠れていて黙ってこちらを監視していたの
かもしれない。
すぐ近くの中道には資材運搬車が駐車してあった。荷台には工具箱、ビニールシー
ト、ロープとナップザックが積まれていた。 荷台に白い結晶がこびりついていた。
なめてみると辛かった。
歩道整備であれ防鹿柵、ネットであれ、工事ではふつう塩は使わない。やはりシカ
をおびき寄せるエサの塩を運んでいたと考えるのが順当だろう。おそらく、麻酔銃で
シカを眠らせたあと、人力でここまで運び上げ、この運搬車で駐車場に運ぶのであろ
う。
シカ捕殺の準備は万端整ったようだ。おそらくこの場所ですでに何回か繰り返され
ているのだろう。明日か明後日か分らぬが、シカがアルパインキャプチャーに入り次
第、また無益な殺戮が繰り返されることになるのだろう。
2004年10月25日 来住弘之
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