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大台ケ原>水路工の設計施工の見直しを望む
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会 提供日付  : 2005/01/01 21:21 登録経由地 : prweb情報受付 01 #00726 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

       区間E-2・水路工の設計施工の見直しを望む
         < 歴史的歩道整備を終って >

 大台ヶ原における伝統工法による空石積み歩道整備の平成15年度分工事が、10月の
若干の手直しをもって終了した。本会は工事段階から現場の状況を逐次HPに掲載し
て、環境省、奈良県、施工業者に評価、要望を伝え、行政、業者が迅速かつ誠実に応
えていただいたことに深く感謝している。全国の国立公園歩道整備の範たる立派な出
来栄えであった。

 工事中に、台風10号、11号、16号、21号が連続襲来して豪雨の洗礼を受けたが、伝
統工法は一部水路を除いて耐え切った。そして更に近畿北部に記録的大水害をもたら
した23号が大台ヶ原に450ミリの追い撃ちを加えた。5つの台風の合算降雨量はなんと
3854ミリになる。台風外の降雨を加えると4000ミリをゆうに越えたであろう。大台ヶ
原の年間降雨量は4500ミリといわれているが、今年はそのほとんどが、8月から10月
の3ケ月に集中して降った。そして、この記録的豪雨に空石積み工法は見事に耐え抜
いた。若干の一部手直しを環境省は10月末に終ったが、かつてない迅速な対応を多と
したい。

 ところで、ただ一箇所だけ豪雨で石が流されたところがある。区間E−2の急傾斜
の直線状の水路である。当初から、使用されている石が小さいので流されるのではな
いかと懸念してこのHPにも書いたが、やはり流された。そして修復工事が終ったあ
と、11月19日に現場を見たが、やはり石が散らばって水路として機能していない。尤
も、10月18〜21日に襲来した台風23号によって修復工事後に被害を受けたのかどうか
は定かではない。21号で崩された石段は修復されていた。

【水路工の設計見直しが必要ではないか】
 設計図の水路工と水止工を比較すると水路工は水止工のように谷側に大きな水止石
がなく、水路も浅く、底に直径15cm程度の小さな石を敷き詰めるだけである。施工
は正にこの設計図通りにされたと思われる。
 崩れなかった他の工区の水路と比べて、この工区は材料の石も小さく、工事も手抜
きではないかと思ってきたが、どうやらそうではなく、設計図に原因があるのではな
いかと気付いた。何故他の工区のように、水路工に水止工のような大きな石を配し、
水路を深くして、底の石も20cm以上の大きな石を詰めなかったのであろうか。そうす
れば石も流されなかったのではないか。

【根入れ不十分】
 尤も、小さな底石は、設計図では土中に8割以上埋め込むことに
なっているが、工事では地面に並べられただけで、そのために流される結果になった。
施工の手抜きと言えるのではないか。急傾斜を急速に流れ下る大量の雨水に耐えるに
は根入れが絶対必要であろう。空石積み工法では土中に石を埋める所謂「根入れ」が
重要であるにも拘わらず、この区間全体にわたって「根入れ」が不充分で、そのため
に流された石が方々で見受けられたのは残念である。施工にも問題があったといえよ
う。

【水路からの排水側溝の設計施工不充分】  
 198.7mのほぼ直線状の水路の途中に、6箇所の排水口があるが、5箇所はただ雨水
の出口が開いているだけで、落ち葉に埋まって機能していない。設計図にはそれ以上
の施工指示がないので施工は図面通りなのであろうが、せめて谷側に向かって数メー
トルくらいは雨水が流れやすい深い石組み側溝が必要ではないか。

 ここ一箇所の水路の不備だけで折角の全体の評価が完璧にならないことが残念であ
る。設計図を検討して、明春雪が溶ければぜひ修復していただきたい。この工区は利
用者も多く、今の状況を衆目に曝すことは恥かしい。

  【職人さんの発想になる倒木ダム】  
 正木ヶ原に降った雨水を寫眞左の谷側に流して歩道の水量を減らすために、倒木を
利用したダムが、区間Cの上部に2箇所作られていた。
 もともとは職人さんの発想を環境省がすぐ採用して施工したことを多としたい。ど
こかの役所と違って、税金を節約した低コストのダムである。
また、崩れた法面に倒木を並べて崩土を防ぎ、苔や草や、果ては実生の生育を待つ施
工も実施されたが、これも職人さんの発想である。地元の山・大台ヶ原を良く知る職
人さんならではの発想である。

【倒木による迂回路】   
 牛石ヶ原から東ノ川に下る滝見尾根が台風21号の 強風を受け、シオカラ谷から急
坂を登りきった稜線の歩道傍のブナが歩道をへだてた樹木にもたれかかった。登山者
の安全を図る環境省として迂回路を作った。倒木が枯れると判断すれば切り倒せば迂
回路の必要はないが、根が完全に浮き上がっていないので枯れるかどうかは今の時点
では判断できないので暫く様子をみようということであろう。今年は台風でかなりの
倒木があり、丸太に切られているのも目撃するが、可能な限り倒木はそのままにして
ほしいと思っているだけに、この配慮を多としたい。

 設置当時、ロープと木柱に塗られた防腐剤の濃い色が目立ったが、豪雨に洗われて
少し色褪せ、落ち葉の風景になじんでいるのを見てほっとした。
【平成16年度工事すでに着工】
 本年7月26日に現地説明会(HP別掲)が開催された「平成16年度大台ヶ原周回線
歩道改修」工事は、例年であれば来年春に着工されるのが常であるが、既に予算があ
るためか、平成15年度工事終了後、引き続いて着工していた。場所は尾鷲辻から牛石
ヶ原・区間Dまでの区間Gと、牛石ヶ原の区間Fの2箇所で、重機でロープ柵用木柱
の穴が掘られていた。

 工事関係者のテントに立ち寄ると、吉野の業者だったので驚いた。大台ヶ原の仕事
は初めてなので本会のHPで勉強して、ロープ柵がV字にならないように長い丸太を
用意し、セメントが地表に出ないように注意するとのお話であったので、かなり丁寧
な仕事をしていただけるとは感じた。しかし、今年の工事が地元業者の誠意、努力で
見事にできあがったことを思えば、区間をつなぐ2箇所の工事に、改めて大台ヶ原が
初めての業者を入れるとは意外であった。勿論この業者が駄目だということでは全く
ない。折角今年の施工が地元の伝統工法によって完成した以上、その技術を持つ地元
業者に頼まずに大台ヶ原が初めての業者に頼まなければならなかった理由は何なのか
納得できなかった。

 業者は元請と聞いた。税金の節約は勿論結構である。だが、奈良県の入札制度は知
らないが、もし、公開競争入札制度でないとすれば、公平な経済的・技術的競合がで
きる制度に改めて、適切な業者の選定を可能にするべきである。遅まきながら、行政
との癒着、談合などの永年の悪弊を排して、いまやそれが全国の常識となりつつある。
かつて国道169の補修工事で、短い区間をこま切れにしていくつかの業者が施工して
いる実態を見て県に糾した所、業者育成のためとの説明であったが、それは税金の有
効使用からみて当っていないであろう。

 大台ヶ原の大規模な歩道整備事業は当分ないとしても、毎年豪雨による補修を繰返
さなければならないであろう。予算もつくと聞く。そのためには、大台ヶ原の特異な
地形、地質、気象を熟知した地元の伝統工法が必要であり、その条件を満たす納得で
きる業者選定を奈良県に望みたい。特異な技術であるだけに更なる経験の蓄積も必要
であり、伝統工法の継承も重要課題である。その意味での県の指導、援助が必要であ
ろう。

【中道の蛇篭工事】
 中道では台風21号で崩れた歩道の緊急補修工事で谷側に蛇篭を組んでいたが、昔組
まれた山側の空石積みと対照的に白々しく映った。谷を埋めて歩道を作った場所柄、
今後も豪雨の度に歩道に水があふれ、壊されるであろう。構造的欠陥であって蛇篭は
一時しのぎに過ぎない。谷を元に戻して歩道は橋にする以外に解決はないであろう。

 同様のことはドライブウエーについてもいえる。谷を埋めて車道を作った以上、流
路を奪われた雨水は車道を崩して流れ下る以外方法がない。“高度経済成長期”に自
然を無視し、効率を重視した愚かしさの結果である。その補修は永遠に続く税金の浪
費である。誤解を怖れずに言えば、田中角栄の「日本列島改造論」発祥の地新潟の惨
状が意味するものを考えるべき時であろう。
                    2004年11月20日     田村 義彦


  

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