GEN>黄土317>マオウ(麻黄)
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク
提供日付 : 2005/07/06 16:07
登録経由地 : prweb情報受付 02 #00096
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
書きつづっています。不定期の発行です。
バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
黄土高原だより(NO.317)
(2005.07.06)
高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
マオウ(麻黄)
1994年夏のことです。
大同県徐町郷を訪れたとき、奇妙な植物をみました。
葉はまるで、スギナの親分のよう、トクサの子分のよう。
根元のほうに、直径7〜8mmの、赤い実をつけています。
透明感のある赤が、イチゴのようです。
地元の子が、「能喫!」(食べられる)といって、
食べてみせます。
私たちも、食べてみました。
あっさりした甘味で、なかなかおいしい。
そのあとの変化が、劇的だったんです。
腹痛と下痢に、私は悩まされてたんですけど、
速攻で、おさまりました。
郷政府での、昼食のテーブルが、またすごかった。
そのころのツアーは、10日以上の現地滞在で、
農村を回るうちに、みんな疲れて、
グターッとしてたんですよ。
それが、急に生き返って、沸き立ったんです。
自分たちで、びっくりするくらい。
郷の幹部が、大笑いして、いうんですよ。
麻黄(マオウ)の作用によるものだ、
興奮剤だから、食べすぎると、眠れなくなるところだった、と。
そのときのマオウは、
草麻黄、Ephedra sinica Stapf です。
大同には、もう1種、
木賊麻黄、Ephedra equisetina Bunge があります。
そのツアーが帰ると、入れ替わりに、
はじめての、植物の専門家の調査団が、やってきました。
団長が、立花吉茂さん。
遠田宏さん、前中久行さんも、メンバーでした。
さすがは、専門家です!
シロウトは、食べて興奮しましたけど、
専門家は、みるだけで興奮しました。
マオウは、裸子植物で、
ソテツ、イチョウなどとならぶ、
古い時代からの、植物です。
分類学のテキストの、最初にあり、
かならず勉強するんだそうです。
ところが、たいていの植物の専門家は、
植物の乏しい乾燥地は、縁がうすいので、
自然状態で生えている、実物を、みたことがない。
はじめてだ、というんですね。
かたちも奇妙ですけど、
生えている場所が、また変わっています。
一般の植物が生育しやすい、水分に恵まれ、
土の肥えた、たとえば森林の周縁あたりでは、みつからない。
たいていは、黄土丘陵のなかでも、
もっとも条件の悪そうなところです。
浸食谷の、崖面や、エッジなんかに、好んで生えます。
まかりまちがうと、何十mも、転げ落ちそうなところ。
それから黄土を突き固めた、
万里の長城の、城壁にも、へばりついています。
畑のアゼで、みることもありますが、
そのばあいも、垂直な面か、エッジです。
専門家の調査団は、北岳恒山のふもとの、北斜面で、
崖の上の、とても人が近寄れないようなところに、
木質化した幹が、直径15センチにも育った、
マオウをみました。
少なくとも、数百年はへているだろう、とのことでした。
そういうところが、好きなんでしょうか?
可能性としては、崖面のエッジなんかは、
上昇気流とともに、湿気がやってきて、
ほかのところより、水分がある、といったことも考えられます。
古い植物で、繁殖力も、成長力も強くはないので、
条件のいいところは、ほかの植物に占領され、
そんな片隅で、ひっそりと生き残った、
ということも、ありうる話です。
マオウの属名は、Ephedra ですが、
これから精製される薬が、エフェドリン。
広範な薬効をもつ、貴重な薬材です。
そのために、徹底的に採取されたようです。
薬効成分を、抽出したあとのカスを、
堆肥の材料にしているのをみたことがありますが、
それだけでも、たいへんな量でした。
ですから、平坦な、とりやすい場所は、とられてしまって、
崖面などの、とりにくいところにだけ、残っている、
とも考えられます。
恒山のふもとの、あの古木は、
とうてい、人の手が届くところではない、と考えていたのですが、
数年前、あそこにいってみると、
恒山森林公園の一角に、組み入れられ、
なだらかに、整地されて、地表をはぎ取られ、
かわりに、マツが植えてありました。
大型の、重機がつかわれたのでしょう。
環境林センターなど、手近なところで、栽培しようと、
なんどか、マオウの移植を、試みました。
活着しやすいだろうと考えて、小さなものを選んで掘るんですけど、
根とも茎ともつかないものが、横にものすごく長い。
全部を掘るのは、まずムリです。
そして、新しい細根は、ほとんどついていない。
その結果、何回、試みても、うまく活着しません。
霊丘県の、鍋帽山には、葉が、雲龍形に、よじれているものがあり、
植物図鑑にも載っていないから、
ひょっとすると、新種だぞ、といって、何度も試みるんですけど、
やっぱり着かない。
というようなことを、以前は自由に試みてましたけど、
いまでは、そうはいきません。
何年かまえ、マオウは、麻薬取り締まりの国際条約で
規制リストにあげられました。
栽培も、採取も、運搬も、さまざまな制約を受けるのでしょう。
まさに、クスリはリスク。
--
******************************************************
緑の地球ネットワークへの寄付金は税控除の対象です
(国税庁長官認定の「認定NPO法人」)
▼個人の寄付▼「寄付額−1万円」を所得から控除できます
▼法人の寄付▼寄付金を損金に算入することができます
▼相続・遺贈▼寄付された財産には相続税がかかりません
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
特定非営利活動法人 緑の地球ネットワーク(GEN)
552-0012 大阪市港区市岡1-4-24 住宅情報ビル5F
TEL.06-6576-6181 FAX.06-6576-6182
E-mail gentree@s4.dion.ne.jp
URL http://homepage3.nifty.com/gentree/
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
|