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GEN>黄土337>亡国?のゲーム
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク 提供日付  : 2005/11/29 20:55 登録経由地 : prweb情報受付 02 #00536 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

  中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
 書きつづっています。不定期の発行です。
 バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。

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  黄土高原だより(NO.337)
     (2005.11.29)
            高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)

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  亡国?のゲーム

 黄土高原の農村を歩いていると、
 村の「大通り」のあちこちに、座り込んで、
 なにかに興じている、人だかりに、出会います。
 たいていは、トランプ。
 土のうえに、薄い敷物をおき、
 それを場にして、遊んでいます。
 やっているのは、4、5人。
 それと同数くらいの人が、のぞきこんでいます。

 賭けていることも、たまにはあるようですが、
 たいていは、遊んでいるだけ。
 それでも、点数は、キチッと、計算しているよう。

 私たちの、カウンターパートの、スタッフも、
 トランプは、大好きです。
 拠点の環境林センターに、当直したときなんか、
 夜おそくまで、テーブルを囲んでますよ。
 各県の、プロジェクトを周回するときも、
 招待所の、どこかの部屋に集まって、やっています。

 最初のころは、私も、誘われました。
 でも、横で観察していても、ルールがわからないんですね。
 2組のカードをいっしょにして、
 100枚以上を、使いますからね。
 それ以上に、ゲームとか、賭け事とか、私はちょっと、怖いんですね。
 いったん始めたら、のめりこみそうで。
 ですから、若いときから、近づかないようにしてきました。

 ゼッタイに強かったのは、祁学峰だそうです。
 2001年まで、大同市青年連合会の主席で、
 8年間、この協力事業の、中国側責任者をつとめ、
 私とは、兄弟のようにしていました。
 なぜ、強いかというと、
 頭の回転が速くて、カンがよかった。
 天性のものか、実戦で鍛え上げたのか、そこは知りません。
 それ以上に、すごかったのは、
 負けてるあいだは、ゼッタイにやめなかった、そうです。
 他のプレーヤーは、根負けしてしまうんですね。
 こういうところに、性格が、表れるのでしょう。

 マージャンも、もちろん、盛んです。
 でも、こちらは、たいてい屋内。
 この協力事業の初期、私を案内していた
 青年団の幹部が、農村に着くなり、私をほっぽりだして、
 テーブルを、囲んでいたこともあります。

 私たちが、最初に、協力にとりくんだのは、渾源県です。
 92年、93年のころ、私は、かなりの頻度で、
 県の林業局長の、温増玉さんの家を、訪れました。
 もっと正確にいうと、入り浸っていた、という期間があったのです。
 老温の連れ合いの、郭玉香さんが、肝っ玉おっかあで、
 まっ昼間から、若い男どもを引き込んで、
 雀卓を、囲んでいることがありました。
 賭けていることも、あったようですが、わずかなもの。

 温増玉さんも、数年前に、定年を迎えました。
 いまや、悠々自適です。
 移動の途中で、彼ら夫婦を、訪ねることを、
 突然、私が思いつきます。
 すると、通訳の王萍が、断定的にいいます。
 「ゼッタイに、マージャンをやってますよ」。
 アタリ。
 友人たちが、集まって、熱中しています。
 郭おばさんは、以前とまったく同じ調子で、
 「ちょっと待って! これが終わるまで」。
 私に同行している中国人たちは、
 「外国の友人が、わざわざ訪ねてきているのに」といって、
 あきれるんですけど、
 郭おばさんが、以前とまったく同じように、迎えてくれるのが、
 私は、うれしいのです。

 いまの共産党政権が誕生してから、
 マージャンは、「亡国のゲーム」として、
 禁止されたことがあったそうです。
 日本人の知り合いから、そのように教わったんですけど、
 ほんとうかどうか、私にはわかりません。
 でも、まあ、たいしたことはありませんよ。
 たかが、ゲームですから。

 大同から、渾源に移動するとき、
 ちょっとした峠を越えて、すぐでてくるのが、
 三嶺村でした。
 (いまは道が付け替えになって、ここを通りません)
 明代ののろし台と、日干しレンガ造りのヤオトン(窰洞)で、
 フォトスポットに、なっていました。
 海外からの、観光客は、ここで必ずバスを停め、
 いかにも黄土高原らしい景観を、楽しんだのです。

 それをねらって、村の子どもや、おばちゃんたちが、
 みやげものを、売りつけにきました。
 手作りの馬鈴、布でつくった馬のおもちゃなど。
 「マイガバ! マイガバ!」(買って、買って)と、
 しつこいのです。
 小学生くらいの、子どもたちが、そのようにするのをみて、
 日本人の、ツアー参加者は、いい気はしなかったようです。
 でも、私は、子どもが一家の経済に、参加するのが、
 わるいとは、とても思えなかった。
 30歳をすぎても、親がかりでいる、
 日本のほうが、ずっとひどいと、私は思っています。

 その子どもの一人に、私は聞いたのです。
 「学習好不好?」  (勉強はどうだい?)
 彼だけでなく、一群の子どもから、返ってきたのは、
 大声で、「不好!」 (できない!)。
 で、私は「どうして?」
 「老師、不教!」  (先生は、教えてくれない!)
 私「先生は、なにしてるの?」
 「打麻雀!」  (麻雀してる!)

 私も、その先生を、何回か、みています。
 私は、農村の、すてきな先生のことを、
 これまで、何回か、書いています。
 それと対照的に、三嶺村の先生は、相当にひどいと思います。
 でも、村の学校の、先生は一人っきり。
 こどもには、逃げ場というか、救いというか
 それがないんです。

 ここまでいくと、マージャンは、
 亡国のゲームに、近づきつつあるよう。
 でも、最近、日本の若い人のあいだでは、
 マージャンの4人も、集まらないのだそうですね。
 コミュニケーションも、だんだん下手になる。
 こちらのほうが、もっと怖いのかもしれません。

 ここ何回か、中国について、辛辣なことを書いたら、
 「高見は、疲れてるんじゃないか?
 大同の現場に、うまくいかないことがあって……」
 という声が、あったそうです。
 それは、そうじゃないんです。
 みなさんも、おそらく、そうでしょうけど、
 少なくとも、私のばあい、
 否定的なこと、失敗の経験、そういうことを書けるのは、
 実際のしごとが、うまくいってるときだけ。
 ほんとにしんどいときは、
 いい話を書いて、自分をはげまさないと、やっていけません。

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