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GEN>黄土338>六稜山の自然林
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク 提供日付  : 2005/12/05 23:22 登録経由地 : prweb情報受付 02 #00548 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

  中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
 書きつづっています。不定期の発行です。
 バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。

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  黄土高原だより(NO.338)
     (2005.12.05)
            高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)

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 六稜山の自然林

 大同で、自然林といえば、
 すぐに、私の頭に浮かぶのは、
 霊丘県のものです。
 大同市の、最南部の県の、しかも南部にあり、
 河北省との、省境に近い。
 この通信でも、しばしば書いています。

 大同市の北部にも、森林というべきものは、
 なくはないのです。
 でも、それらは、人工林。
 大同市の、北部を、桑干河が流れています。
 この河は、北京の水源ですから、
 水源涵養の、ねらいもあって、
 大同における、初期の植林事業は、
 桑干河流域で、おこなわれました。
 そのために、人工造林による森林は、
 北部が、中心になっています。
 でも、自然林は、ほとんどない。

 六稜山の自然林は、その意味で、貴重なものです。
 標高は、2375m。
 大同県、陽高県、渾源県、広霊県の、県境の山です。
 行政単位の、境い目は、たしかに辺境です。
 村があったとしても、小さく、人口も少ない。
 生活は貧しいんですけど、
 人口圧力は、相対的に、少ないことが多い。

 ここに、樺林背林場があります。
 私たちが、自然林を、懸命にさがしているのを知って、
 緑色地球網絡大同事務所の、技術顧問、
 侯喜さんが、1999年に、案内してくれました。
 霊丘県の自然林は、すべて、公道から遠いところにあります。
 碣寺山は、その典型で、国道108号線沿いの村から、
 私たちの足では、片道4時間を歩かないと、いきつけません。
 ところが、樺林背林場は、道路のすぐそば。
 そのかわり、標高は1600mより上です。

 いちばん多い樹種は、その名のとおり、シラカンバです。
 胸高直径は、せいぜい20cmくらいまでで、大きなものはありません。
 わりと最近まで、人手で伐られていたようで、
 切り株が残っています。
 いま生えているものは、切り株から萌芽更新したものが、多いのです。

 そのほかに、カラマツ(華北落葉松)、トウヒ(雲杉)、トショウ(杜松)
 といった針葉樹も、混じっています。
 とくに、トウヒは、大きなものは、目につきませんが、
 木々の下の、陰になっているところに、
 小苗が、かなりの数、育っています。
 パラソル型と、いうのだそうですが、
 ほかの樹木の影で、乏しい光線を、できるだけ多くとるために、
 背丈は小さいのに、枝葉を、横に大きく広げています。
 その姿が、傘のようなんですね。

 いまはそうやって、下積みに耐えていますが、
 なんらかの事情で、上の木がなくなれば、
 いっきょに、成長をはじめるでしょう。
 そういうことからいうと、
 シラカンバが主人公であるのは、仮の姿で、
 最終的には、トウヒが、ここの主役になるのでしょう。
 人工的に、上の木を取り除いて、
 その過程を、促進することもできます。

 カラマツと、トウヒの関係についてみても、
 カラマツ林のなかに、カラマツの小苗はみつかりませんが、
 トウヒの小苗はあります。
 トウヒの林のなかに、トウヒの小苗は育ってますけど、
 カラマツの小苗はありません。
 そういうことからいうと、この地方の、海抜1600m以上のところは、
 最終的に、トウヒの森林に、行き着きそうです。
 リョウトウナラなどの、落葉広葉樹は、
 もう少し、標高が低いところの、主役のよう。

 2年ほど、あいだをあけて、2005年夏に行ってみると、
 思いがけず、大きな変化がありました。
 車を走らせながら、はるか下のほうで、気づきました。
 道のそばに、コンクリートの棒杭を立て、
 鉄条網を、張りめぐらしてあります。
 山のなかに、ヤギ、ヒツジなどの家畜を、
 入れないようにしているのです。
 「封山育林」。

 けっこう、それが効果を、あげています。
 それで、伸びが速まった、というわけでは、もちろんありません。
 しかし、植物の種類が、急速にふえています。
 樹木でいうと、リョウトウナラ、ミズキ、ヤマナラシ、ナナカマド……。
 数年のうちに、芽生えた、若苗です。
 環境林センターの、見本園に植えたいので、
 春の発芽前に、掘りとるため、
 目印の、赤いテープを、巻いてきました。
 草は、レイジンソウ、マイヅルソウ、ギョウジャニンニク、ウメバチソウ……。
 数種類ですが、掘りとって、環境林センターに移しました。

 このように、条件のあるところでは、
 人の影響を、排除することによって、
 かなり急速に、植生が再生するようです。
 それは霊丘県でも、みてきました。
 そういうところでは、人工的に植えなくても、大丈夫です。
 でも、どこでもそうとは、いきません。
 最低でも、シードソース、親となる木があって、
 種を飛ばしてくれないと、どうにもならないのです。

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