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GEN>黄土339>移転した村
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク 提供日付  : 2005/12/12 23:09 登録経由地 : prweb情報受付 02 #00575 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

  中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
 書きつづっています。不定期の発行です。
 バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。

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  黄土高原だより(NO.339)
     (2005.12.10)
            高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)

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 移転した村

 12月7日の、朝7時に、大同駅に着きました。
 北京から、夜行列車です。
 もちろん、暖房は、はいっていますが、
 外気に負けて、あまりきかない。
 夜中に、寒さで、目がさめました。
 窓側を、頭にしていたので、
 首筋から、肩にかけてが、こわばっています。
 足もとにかけていた、ダウンジャケットを、
 頭から、すっぽり被りました。

 私たちがくる直前、猛烈な寒波がきたそうです。
 最低気温がマイナス20度、最高気温がマイナス13度。
 12月の初めとしては、50年来、なかったことだそう。
 その後、少しずつ、やわらいでいますが、
 山にあがって、風に吹かれると、
 体の芯から、冷えきります。

 今回は、短い滞在ですが、1日をさいて、
 陽高県獅子屯郷の、農村を回ってきました。
 郷政府で、郷長の説明を受けたあと、
 移転して、廃村になった村を、みにいきました。
 高家窰といいます。
 「高」という名字の、一族の村なのでしょう。
 私も、ここの農村では、
 「姓高的日本人」(高という姓の日本人)と、呼ばれますので、
 私の、故郷のようなもの。

 平たいところから、標高が200m余り高い、山のうえです。
 30数戸の、土の窰洞があり、ピークは200人近くが、
 住んでいたそうです。
 住人がいなくなって、まさに廃墟。
 家財道具といえるようなものは、まったくなく、
 古レンガまで、持ち去られています。

 移転の、直接の原因は、湧き水が、涸れたこと。
 急斜面につくられた、幅50cmほどの小道を、
 200mほど下って、谷底にいってみました。
 コンクリートで囲った、ちいさな湧き水があり、
 底に、少しだけ、水がたまっていました。
 落ち葉が、はいりこんで、濁っています。
 水があったころも、わずかなものだったでしょう。
 これだけの水でもあれば、そこに人が住み、
 村ができるのです。

 谷をはさんだ、村の反対側に、
 猫のひたいほどの、段々畑が、散らばっています。
 こんなところで、よく、暮らせたものです。
 いっしょにきている、会田さんに
 「こういう村で、3年、暮らしたら、
 とても、いいことがあるよ」というと、
 不審そうな顔。
 世の中に、こわいことが、なくなるでしょう!

 そこから、さらに上にも、村がみえました。
 任家窰村といい、井戸があるそうです。
 郷政府の統計では、64戸、248人とありますから、
 高家窰よりは、ずっと大きい。

 この郷の、統計表をみると、
 2003年の、1人あたり年間収入は、
 郷全体の平均で、1357元(1元=13円)です。
 当時は、25の村が、ありました。
 うち、10の村が、1000元以上で、
 最高は、1957元です。
 15の村が、1000元未満で、
 最低の村は、748元。
 それが、高家窰村でした。

 2003年は、かなり、いい年だったようです。
 その前年は、郷全体の平均で、1288元。
 大旱魃の2001年は、586元。
 そのような年、高家窰のような村は、
 ほとんど、収入がなかったでしょう。

 ついでに、1畝(6.7a)あたりの、食糧生産高をみておくと、
 郷全体の平均で、2003年は205kg。
 2002年は、182kg。
 2001年は、43kgです。

 標高の低い、平地の村は、かなり豊かだと思います。
 衣食住には、不自由しない、
 中国でいうところの、「小康」です。
 放し飼いのブタが、あちこちを歩いています。
 乳牛の飼育を、専業にしている村も、訪れました。
 それが、1人あたり年収の、いちばん多い村です。
 活気があります。
 案内してくれた郷長は、
 「豊かな村は、ますます豊かになり、
 貧しい村は、ますます貧しくなる」といいました。

 最後に、高家窰村の、移転先をみました。
 大きな村の、はずれに、小さなレンガ建てが、
 ならんでいました。
 政府が、支給したもの。

 郷長の説明では、これは「南房」だそうです。
 一般の住居は、南向きに建てられますが、
 これは、北向き。
 この地方の農家は、たいてい、塀で、囲まれています。
 金のある家はレンガ塀、一般的には、土塀です。
 門は、東南の角にあります。
 ついでにいうと、便所は、西南の角。
 門のすぐ横に、小さな建物があり、
 農具その他が、しまってあります。
 それが、「南房」です。

 1軒をのぞくと、狭い室内に、寸足らずのオンドルがあり、
 若夫婦と、2か月の、赤ん坊がいました。
 北向きですから、とにかく寒い。
 私は、あわてて、逃げ出しました。
 能力もないのに、首をつっこむと、
 心中の負担が、重くなるだけ。

 耕地は、1人あたり、1.5畝(10a)が
 配分されているそうです。
 この家は、6畝(40a)。
 平地といっても、塩害があるようですから、
 食べるのが、やっとでしょうね。
 それから、出稼ぎにでる。
 あるじが家にいたのは、子供が産まれたばかりだからでしょう。

 庭には、井戸があり、手押しのポンプがありました。
 南向きの母家は、各自がお金を貯めて、建てるのだそうです。
 すでに建築中の家もありましたが、
 それは、数軒だけ。
 移ってきて、2年がたっています。
 まだまだ、苦闘がつづくのでしょう。

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