GEN>黄土343>シャンマー(相馬さん)
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク
提供日付 : 2006/01/10 23:14
登録経由地 : prweb情報受付 02 #00634
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
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また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
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場合があります。
中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
書きつづっています。不定期の発行です。
バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。
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黄土高原だより(NO.343)
(2006.01.10)
高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)
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シャンマー(相馬さん)
相馬さんが、はじめて大同にきたのは、2000年の3月末でした。
厳寒の時期はすぎたとはいえ、北緯40度、海抜1,000m以上の大同は、
まだ、かなり寒かったのです。
いっしょにこられた藤沢春海さんも、相馬さんも、
薄着で、寒そうでした。
2人は、その数年前から、北京郵電大学に留学して、
中国語を勉強している、ということでした。
北京で暮らしているために、
「寒いといっても、もう3月も末。
たいしたことはなかろう」と
大同の寒さを、みくびったのでしょう。
相馬さんは、それを機に、足しげく、大同に通うようになりました。
青森の営林局長を最後に退職した、林野庁OBだということは、
本人からも、元同僚からも、きいていましたが、
役人くささを、まったく感じませんでした。
もとから、そういう人では、なかったでしょう。
役人らしい、役人だっただろう、と私は思います。
現職のときは、判で押したような役人だった人間が、
退職後、ガラッと人が変わるケースは、
私の友人のなかにも、めずらしくありません。
しごとが、人をつくる、ということでしょう。
相馬さんは、68歳になってから、中国語の学習を思い立ち、
単身、北京にきました。
あいまには、中国の、ほぼすべての省・自治区を旅していますから、
あのひょうひょうとした風格は、旅のなかでつくられたかもしれません。
私は、そう理解していました。
大同事務所のメンバーも、農村の人たちも、相馬さんが、大好きでした。
「シャンマー」といって、呼び捨てにするか、
「ソオ・マサン」と、へんなところにアクセントをおいて、
彼を呼んでいました。
相馬さんが、中国語で応じると、
困ったようすで、横にいる私の顔を、うかがいます。
相馬さんの中国語も、私と同じで、
相手の理解力・想像力にたよる、それだったのです。
よれよれのジャンパーに、くたびれたデイバッグ、
ベトナム製の、色のさめた、赤い帽子、
そのような、いでたちにもかかわらず、どことなく品があって、
どこにいっても、すぐに、日本人だと見抜かれました。
しかも、金持ちに、みられるのです。
困ったことに。
2001年の春、ツアーのあいまをぬって、
私たちは、山西省偏関県万家寨鎮に、でかけました。
対岸は、内蒙古のオルドス(鄂爾多斯)であり、
ここにダムをつくって、黄河をせき止め、
その水を、太原と、大同に、送る計画が進行中でした。
それをみたかったのです。
昼どきに、小さなレストランにはいりました。
ひととおりのものを、注文したあと、
黄河のコイが、名物だときいて、それを追加しました。
支払いの段になって、びっくり。
コイ1匹が、なんと、200元!
7人分の、その他の菜すべてより、ふっかけられたのです。
店の主は、「釣ってきたコイだから高い。
網で穫ったコイとは、わけがちがう」と言い張りましたが、
私は、「いや、希少なものは高い、というのが市場経済だ。
日本人の客なんて、めずらしいし、
金持ちは、なおさら、めずらしい。
だから、しかたないんだ」と、いいました。
原因がシャンマーであることに、全員が一致しました。
私にとって、相馬さんは、とてもありがたい存在でした。
なんどもいうように、緑化にとって、私は門外漢です。
国際協力にとっても、門外漢です。
それでも、ある段階から、この協力事業は、
とんでもない失敗作とはいえないだろうな、と思えるようになりましたが、
客観的にみて、どういうレベルにあるか、わかりませんでした。
北京からきた中国の幹部が、「貴重な成功例だ」と評価しますが、
彼らは、面と向かって、まずいことは口にしないでしょうし、
プロジェクトの細部を、理解できるわけでもない。
相馬さんは、私たちのプロジェクトを、ひととおり、みたあと、
「民間団体の緑化協力なんて、ママゴトだろうと思ってましたよ。
こんなことまでやっているとは、思ってもいなかった。
認識をあらためましたよ」と、評価してくれました。
リップサービスだけでなく、それから数年間、彼は、毎年100日以上も、
私たちのプロジェクトに、滞在してくれたのです。
そして、日本からやってきた、視察のメンバーに、
「このプロジェクトの、すごいところはね、
大地に木を植えるだけでなく、人の心に木を植えていることです」なんて
解説してくれました。
そんなこと、私たちの口からはいえませんよ、恥ずかしくて。
相馬さんに誘われることで、私たちのプロジェクトに、
関心をもつ人も、ふえてきました。
そんなことを通じて、私たちは、少しずつ、
自信をもてるようになったのです。
故渡辺桂さんによると、
フォレスター症候群というのが、あるそうです。
その1つに、フォレスターは、樹木をみると、うれしくなる、
まっすぐ、大きな木をみると、ことのほか、うれしくなる、
というのがありました。
相馬さんは、まちがいなく、フォレスターでした。
霊丘自然植物園の、いちばん高いところを、「南天門」といいます。
地図にも載っている、正式の地名で、海抜は1300m強です。
その近くには、リョウトウナラの群落ができています。
ふもとの管理棟からは、高低差で400mほどありますし、
作業道をつくるまでは、踏み分け道しか、ありませんでした。
70歳代半ばの相馬さんには、相当にきつかったと思います。
途中まで、いっしょに登ると、
「行けるところまで、ゆっくり行くから、先にいってください」といわれます。
どうせ、一本道で、そこに帰ってきますから、私たちは先にいきます。
でも、ちょっとだけ遅れて、相馬さんは、かならず、やってくるのです。
「相馬さん、あなたは、こどものころから、ケンカすると、すぐに泣いて、
泣いてから、強くなるタイプだったでしょ」なんて、
失礼なことを、私はいいました。
2001年の春、私たちは、大同の南西にある、芦芽山にいきました。
ここには、トウヒ(雲杉)と、カラマツ(華北落葉松)の林があります。
こんなりっぱな森林が、ここに残っているのは、
沙漠のなかの、オアシスのようなもの。
トウヒなんか、直径60cm以上のものが、たくさんあります。
相馬さんは、車が止まったとたん、転げるように、そとに出て、
走り出すんですよ。
立ち木が、逃げるわけないのに……。
相馬さんはまた、ナナカマドやミズキが、だいすきでした。
冊田ダムの横の道をぬけて、六稜山にのぼると、
途中に、自然林があります。
シラカンバが中心ですが、そのなかに、ナナカマドがありました。
「中国でも、ずいぶん山をみたけど、
ナナカマドをみるのは、はじめてです」といって、
抱きついて、登ろうとするんですね。
運転手の小郭は、どうしたものかと、あわててましたよ。
この年末年始の休みがあけて、事務所にでると、
1通のファクスが、はいっていました。
日中緑化交流基金の、小林榊さんからです。
1月1日午前4時05分、相馬昭男さんが亡くなった、という知らせです。
78歳でした。
緑色地球網絡大同事務所の、武春珍所長に電話をすると、
彼女は「惜しいことです、ほんとに惜しいことです」と、
それだけをくりかえしました。
相馬さん、ほんとうに、ありがとうございました。
ごくろうさまでした。
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GEN自然と親しむ会 樹形と冬芽の観察会
2006年1月29日(日)10時30分〜14時30分
大阪府立花の文化園(河内長野市高向)
講師は前中久行さん(大阪府立大学教授・緑地植物学)
参加費は一般500円、中学生以下200円
研修室を借りていますので、寒くても大丈夫です。
申込み締め切りは1月25日。くわしくはGENまで。
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