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GEN>黄土344>ラオチー(老七)
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク 提供日付  : 2006/01/16 23:25 登録経由地 : prweb情報受付 02 #00649 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

  中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
 書きつづっています。不定期の発行です。
 バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。

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  黄土高原だより(NO.344)
     (2006.01.16)
            高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)

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  ラオチー(老七)

 私たちのカウンターパート・緑色地球網絡大同事務所の副所長、
 魏生学(ウェイ・ションシィエ)は、私の目からみて、ふしぎな男です。
 顔も、体も、まるっこくて、いつもニコニコしている。
 所長の武春珍が、いかにも、やり手で、
 どんなときでも、前にでるのにたいして、
 小魏は、あまり目立たない。
 あまり、じゃない。
 この饒舌な、『黄土高原だより』にも、
 彼は、ほとんど登場していません。

 この協力事業に、彼が参加したのは、早いのです。
 大同事務所の創立は、1994年夏ですが、
 そのときに、彼は加わっています。
 祁学峰が、所長に就任したのと、同じ時期。
 通訳の王萍が、1995年春、
 所長の武春珍は、1998年春ですから、
 それに比べても、ずっと古手です。
 にもかかわらず、目立たない。

 引っ込み思案です。
 この協力事業のことを紹介して、といわれても、
 モジモジするばかりで、前にはでない。
 ツアーがきているときに、なにかアクシデントがあって、
 急に決定しないといけないことがおきても、
 自分では、なかなか決めることができない。
 イライラ、させられることが、あります。

 ところが、彼は、大同の人たちのあいだでは、
 存在感が、あるんですね。
 私たちの通訳で、本職は大同市第4病院・院長助理の、王萍は、
 ずいぶん早くから私に、「魏生学は、とても聡明な人ですよ」といいました。
  ほかの、若いスタッフたちも、小魏のことを、とても大事にしています。
  小魏は、裏方のしごとの、ほぼすべてを、掌握していました。
 でも、評価のギャップを、私はなかなか、埋められなかった。

 あるとき、武春珍が、彼のことを
 「ラオチー」と、呼んでいるのに、気づきました。
 「老七」です。
 彼は、きょうだいのうち、7番目で、
 家では、そう呼ばれていたのだそう。
 産めよ増やせの、毛沢東時代とはいえ、
 都市部では、そこまでの子だくさんは、まれでしょう。
 小魏は、新栄区の、農村の、生まれ育ちです。
 子だくさんですから、生活は、苦しかったようです。
 いっしょに、農村をまわっていると、
 「あれも食べた、これも食べた」といって、
 彼が指さすのは、野草、木の葉。

 私とのあいだで、意気投合したことがあります。
 私には兄がいて、こどものころ、着るものは、いつもそのお下がりでした。
 お下がりでも、ピッタリだと、いいんですけど、
 身の丈にあうようになるまでに、それまでのものが破れてしまい、
 ダブダブのものを、着ないといけない。
 私の体が伸び、その服があってくるまえに、また破れてしまう。
 その繰り返しです。
 そんなことを話すと、彼は、それに身振り、手振りで、あわすのです。
 まあ、私は上に1人ですけど、彼は兄姉が6人ですからね。

 小魏は、村開闢いらいの、秀才であったようです。
 本人はいいませんけど、周囲の連中が、私に「告げ口」します。
 大同には、大学がありませんので、
 小魏は、それに代わる最高学府、師範学校をでました。
 1960年代前半生まれの、大同の秀才たちに、共通のパターンのようです。
 祁学峰も、武春珍も、同じコースをとり、
 その後、中学校(日本の中学高校)の、数学の先生になり、
 途中で、共青団の幹部に、抜擢されています。
 太原の、大学にすすむものが出るのは、もう少し、時代が下ってからです。
 
 秀才の片鱗は、残ってますよ。
 とにかく数字にかかわることを、よく覚えている。
 昨年12月、大同における、平均的な賃金の推移や、
 石炭価格の推移を、調べてほしいと、頼んだら、
 調べるまでもなく、彼は、その場で、メモにして、渡してくれました。
 共青団にいるころ、彼は、そういうしごとをしていたのだそうです。

 それから、人がいいのは、まちがいない。
 モンゴル族は、人のよさで、世界的に有名なようですが、
 彼の生まれ育った新栄区は、内蒙古自治区との境界に近く、
 あの風貌をみると、モンゴル族のDNAも、
 混じっているにちがいありません。
 「小魏は、100%のハオレン(好人)だ」と、私がいうと、
 小武は、「そうではありません。
 120%のハオレンです」といいます。
 人間は、多少の毒がないと、おもしろくないと、私は思ってますから、
 「100%のハオレン」には、否定的な意味合いも、あるんですけど、
 120%となると、そんなことは、超えてしまっているようです。

 昨年の春、内蒙古自治区の、フホホト(呼和浩特)を訪れたとき、
 小魏の友人が、私たちを、熱烈に歓待してくれました。
 「熱烈」のなかには、ガンベ〜イの嵐が、含まれています。
 そのとき、その男が、小魏を「ラオチー」と呼び、
 自分を、ずっーと、下におくんですね。
 自分は「ラオパー」(老八)で、末っ子だともいいます。

 どういうことかときくと、彼らは義兄弟だといいます。
 べつに、姻戚関係があるわけじゃない。
 そして、老八が末だけど、老大(一番目)と、老四は欠けている、と。
 じゃあ、欠けてるところに、おれをいれてくれと、私がいうと、
 それはダメだといいます。
 彼ら義兄弟の6人とも、それぞれの家庭における、きょうだいの順番と、
 一致している、それが条件だ、ということです。

 なんだ、たあいもない、遊びじゃないか、と思われるかもしれませんが、
 さらに尋ねると、そうでもないよう。
 実のきょうだい以上に、なかよく、助け合っているようなんです。
 フホホトを、私たちが訪れるにあたっても、
 老八は、老七の依頼をうけて、
 ほんとに熱心に、下調査をしてくれていました。
 私たちだけなら、何日もかかることが、
 大同からの、日帰りで、できてしまった。
 
 それから、私たちの協力拠点、環境林センターなんかでも、
 燃料として、かなりの量の、石炭を購入しますが、
 その値段は、市場価格にくらべて、たいへん安いのだそうです。
 それは、老七の、何番目かの兄貴が、
 石炭関連の企業で、働いているからだそう。
 特別に安く、回してくれるわけです。

 中国で、すこしでも仕事をした人は、
 人脈の、重要さを、知っているはずです。
 それがなかったら、なにもできないし、
 確実な人脈を、たどることができれば、
 不可能と思えることも、実現することができます。
 彼らの義兄弟は、それが濃密になったものかもしれない。

 人間という存在は、皮膚のうちの個体であるだけでなく、
 人生のつみあげと、そのなかでつくられた関係性の総体だと
 私は思います。
 そう考えると、ラオチーが、
 以前とは、まったくちがう人間のように、みえてきます。
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  GEN自然と親しむ会 樹形と冬芽の観察会
 2006年1月29日(日)10時30分〜14時30分
 大阪府立花の文化園(河内長野市高向)
 講師は前中久行さん(大阪府立大学教授・緑地植物学)
 参加費は一般500円、中学生以下200円
 研修室を借りていますので、寒くても大丈夫です。
 申込み締め切りは1月25日。くわしくはGENまで。

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