prweb_logo スポンサー1スポンサー2
スポンサー募集について
この団体の提供情報一覧 この情報の提供団体について prwebについて
大台ケ原>大峰山系歩道の追加は必要ない
情報提供者 : 大台ケ原・大峰の自然を守る会 提供日付  : 2006/03/24 21:54 登録経由地 : prweb情報受付 02 #00863 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

パブリックコメントへの意見
                           2005年9月10日
環境省自然環境局国立公園課 御中
                       大台ヶ原・大峰の自然を守る会
                            会長  田村 義彦

      国立・国定公園の公園区域及び公園計画の変更への意見

「吉野熊野国立公園の公園区域及び公園計画の変更並びに懐中公園で
      捕獲を規制する動物(オオナガレハナサンゴ)の追加について」
(4)利用施設計画   ウ. 歩道の変更

                     記

(1)環境省は、奥駈道が「世界遺産に登録され、利用者の更なる増加が見込まれ
ることから、歩道計画の全体的な見直しを行う。」として「熊野古道へのアクセス
ルートとなる4歩道を追加する(略)」としている。
 しかし、当該地である奥駈道は、古来修験道の行場であり、ブームにあふられて
簡単に登山できる地域ではない。世界遺産登録により一時的に登山者が増えるかも
しれないが「増加を見込んで」新ルート4歩道を開設する必要はないと考える。

(2)ユネスコの指定の構成は「参詣道」が「大峰奥駈道」「熊野参詣道(中辺路
・小辺路・大辺路・伊勢路)」「高野山町石道」の三つに分類されている。貴省は
付図で、奥駈道を「熊野古道の一部」と記しているが「熊野古道」とは「熊野参詣
道」のことをいうのであって奥駈道を熊野古道とはいわない。熊野古道では確かに
観光ツアー客が増えているが、奥駈道も同じように登山者が増えるとイメージ付け
ることは、新ルート開設を合理化するためのこじつけである。「4歩道」が「熊野
古道のアクセスルート」になるはずがない。

(3)「歩道の変更」計画は、奈良県が策定した「大峰山系環境共生推進計画」が、
策定途中で発表された三位一体改革による国直轄化によって環境省に引き継がれた
ものの丸写しである。何を基準に「見直した」のか理解できない。登山者誘致を願
う奈良県案の安易な踏襲は国の姿勢として納得し難い。

(4)「4歩道」に共通して言えることは古くからの踏跡の登山道化である。特に
問題なのは「{3}白川川又仏生ヶ岳線」である。残されている踏跡を登山道として利
用した登山者はほとんどいないであろう。登山道の下でつながる10km余りの白川
又林道を通らなければ国道169号線に出られないが、この林道は破砕帯を切って開
設された崩れやすい林道で、雨の度に法面の岩が崩落して道を塞ぎ、路面が崩落す
ることも珍しくない。一昨年は落石で死亡事故が起きて長く封鎖されていたが、昨
年も台風で10箇所近い崩落があり、現在もまだ封鎖されたままで復旧の目途も立
っていないと聞く。
 この林道の安全通行が確保されない限り、登山道を開設しても機能しない。本登
山道を下山した場合、仮に林道が通行可能であるとしても、国道に出るまで徒歩4
時間を要し、その間落石の危険は避けられない。また逆に、マイカーを林道に置い
て仏生ヶ岳を往復したとしても林道の崩落で帰路が断たれる危険性がある。エスケ
ープルートとして使用するのも全く無理である。
 
 環境省近畿地区自然保護事務所には、「維持管理を地元が責任を持てない施設整
備は行わない」とする明確な方針があるにも拘わらず、本登山道がリストアップさ
れているのは理解に苦しむ。林道を管理している森林組合、上北山村と維持管理に
ついての協議、合意は為されたのであろうか。奈良県の要求を鵜呑みにして公園計
画に載せ、歩道整備をして後は知らないでは国として許されることではない。

(5)「{2}頂仙岳明星ヶ岳線」は、すでに昭和初期の登山案内書に記載されている
が、30年代には藪にふさがれていたとある。近年誰の手によるのか高崎横手に道
標が立てられ、ルートの大部分にロープが張られ、登山者が利用している。周遊路
にする構想であろうが、古くからの川合からの登山道に問題がない以上、静謐を保
つべきこの山域に一般登山者に対するサービスのために新道整備が必要であるとは
考え難い。一部踏跡が定かでないところがあり、精通者向きのルートとしておけば
事足りる。

 本来、主稜線の奥駈道は1300年続いた修験道の行場として、静寂な原生的空
間を保つべきであり、なすべきは新道開設ではなく、朽ちている大峰七十五靡の再
建であろう。それが世界遺産登録の意義である。世界遺産登録は「保全」が目的で
あるにも拘わらず、地元では経済的利益を得る好機と理解して疑わず、登山者を呼
び込もうとするのは恥ずべきことである。
 
 世界遺産登録によって聖なる行場が破壊されることを心配する声が修験道の中に
あると聞く。世界遺産登録をもくろんだ奈良県によって数年前から行われてきた奥
駈道の過剰整備を知っての心配であろう。その過剰整備に屋上屋を架す必要はない。

(6)「{1}小坪谷線」については、現在、行者還トンネル西口から、急傾斜ではあ
るが短い距離で安全に稜線に出るルートが存在し、多くの登山者に利用されていて
何も問題がない以上、新ルートを開設する必要は全くない。新ルート開設で幾分時
間短縮になるかもしれないが、その代償としての自然破壊は余りにも大きい。
 小坪谷には「九人臥せり」という伝説があったことが『吉野郡名山図誌』に記さ
れている。
その雰囲気を残す源流域をマイカー登山者の利便ために破壊すべきではない。
 
 環境省は、本年9月に奈良県において「大台ヶ原と世界遺産大峰奥駈道の利用を
考えるシンポジュウム」を開催して、公共交通利用のキャンペーンを行うという。
「大台ヶ原自然再生推進計画」で決定された「マイカー規制」が、奈良県の反対で
頓挫して方向性の見出せない混沌とした現状にあることを棚上げして、徒に公共交
通利用のイメージをばらまくイベントは無責任である。
 本会は以前から「レイル&バス」を登山者に訴えるべきだと主張してきたが、そ
れはあくま
でもマイカー規制実現のためである。しかし、過日の大台ヶ原自然再生推進計画評
価委員会においても疑念が呈されたが、環境省が「マイカー規制」に全く触れてい
ないのはなぜか。
 日頃公共交通を利用したことのないマイカー利用者である演者等が、演壇の高み
から公共交通利用を説くのは市民に対して失礼であり、恥ずべきことである。
 
 奈良県原案では「4歩道」すべてにマイカー登山者のための「登山基地」設置が
予定されているが、環境省はそれを踏襲するのであろうか。公共交通利用キャンペ
ーンを張りながら、現実の政策としてマイカー登山者を誘致する施設整備を行うの
は支離滅裂である。
 マイカー登山を促進する「4歩道の追加」は必要ない、と考える。
                                  以 上



  

[article_prweb]oodai.htm