GEN>黄土361>桑干河流域自然保護区
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク
提供日付 : 2006/05/15 23:50
登録経由地 : prweb情報受付 02 #01031
注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した
情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向
けにのみ提供された情報が含まれています。
また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ
のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている
場合があります。
中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
書きつづっています。不定期の発行です。
バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。
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黄土高原だより(NO.361)
(2006.05.15)
高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)
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桑干河流域自然保護区
趣味、というわけでは、ないんですけど、
大同、もしくは山西省の、新しい地図が目にはいれば、
迷わず、購入することにしています。
ここで、しごとをすすめるうえで、
なにかと役にたつ、情報がえられるはずです。
この春、新しく入手した、大同の地図に、
「桑干河流域自然保護区」というのがあります。
大同市の南部に、移動するさい、かならず通過する、
固定橋の、すぐそばです。
いってみたいと思いました。
ところが、大同事務所のメンバーは、
そのような情報を、まずは、信用しません。
「自然保護区?」と、語尾をあげて、せせら笑うのです。
それにも、無理のないところがあります。
「自然保護区」とか、「森林公園」の看板は、
あちこちに立っているのに、その実体のないことが、多いんです。
「博物館」が、からっぽ、なんてこともある。
昨年、朔州市の右玉県にいったとき、林業局の案内に、
「天然林」とあるので、わざわざ、でかけてみたら、
河川敷のようなところに、
ヤナギハグミ(沙棘)が、生えているだけ。
天然であることは、まちがいないんですけどね。
まあ、私たちも、小さな苗を植えたばかりのところに、
「カササギの森」なんて、名づけているんですから、
ひとさまのことを、とやかくいえません。
地図も、不正確なことが、多いのです。
新しく買った、その地図でも、私はチラッとみただけで、
何か所も、まちがいを発見しました。
たとえば、名所旧跡などは、
道路の反対側に、配置されているくらいは、ふつうで、
かけ離れた場所にあることも、少なくないんです。
スペースのあるところに、とりあえず貼りつけた、という感じ。
おおらかな、ものです。
右玉県で、ヤナギハグミの天然林をみたときにも、
地図に「宝寧寺」の表示がありました。
しかも、山西省の旅游図にも、それがあります。
県城のなかですので、訪ねることにしました。
ところが、地元の人にきいても、だれも知りません。
何人目かにつかまえた人が、やっと教えてくれました。
なんと、25kmも、離れたところだったのです。
この県の県城は、以前は、右玉城鎮(または右衛鎮)でした。
内蒙古との境にある、長城のすぐそばで、
右玉県の西北のはずれ。
大がかりな、土の城壁で、囲まれており、
宝寧寺も、そのなかにあります。
むかしとしては、大きな町だったでしょうが、
県政府所在地としては、位置的にも、不便でしょう。
県城は、いまの新城鎮(梁家油坊鎮)に移りました。
ここは、県の中央部にあります。
地図のうえで、県城を移すさいに、
お寺まで、いっしょに動かしてしまったようです。
「お〜い! 宝寧寺は、県城のすぐ北でいいんだな?」
「そうだよ、そのとおり!」
といった、やりとりが、編集室で、あったのでしょう。
そのまちがいが、他の地図にも、踏襲されます。
つい最近にでたものは、やっと修正されましたけど、
以前の地図は、たいてい、まちがっています。
「一犬虚に吠ゆれば万犬実を伝う」
そんなことは、私たちの身近でも、めずしくないでしょう。
桑干河流域自然保護区は、地図のうえでは、
大同県吉家庄郷の、郷政府のそばです。
その近くで、地元の人に、小郭が、道をきこうとしました。
私は、「だめだよ、だめだよ。
知ってるはずがない。
郷政府にいってきかないと……」といいました。
そのとおりだったんですね。
地元の農民が、とてもくわしいこともありますが、
こういう問題については、関心がないのがふつうです。
郷政府で教えられた道を、はいっていきました。
桑干河の、川岸にでました。
一部が、鉄条網で囲ってありますが、なかには、なにもありません。
河川敷には、せいぜい腰の高さくらいの、灌木が、しげっています。
ギョリュウ([木聖]柳、紅柳)です。
そこに、大きな記念碑があって、文字は、もう、かすれていますが、
最後のところが、「……開発区」と読める。
同行している、大同事務所の副所長、魏生学が、
「ほ〜ら、みろ!」という顔をしています。
小郭は、桑干河の堤防のうえを、固定橋にむかって、
くるまをすすめました。
すると、進行方向右手に、
カモやガンなどの、水鳥がみえました。
そこは、堤防の外ですが、水がたまって、湿地になっています。
相当の面積でしょう。
桑干河の水は、いまや刺激臭のつよい、まっ黒な、
純度100%の、汚水ですけど、
ここの水は、きれいです。
小郭が、歓声をあげました。
湿地のなかに、30〜40羽の、大きな、灰色の、
ツルが、降り立っていたのです。
私が、カメラをもって、飛び出そうとすると、
小郭が、止めました。
人の姿をみたら、すぐ逃げるから、
くるまのなかで、みたほうがいい、というのです。
私の、デジタル一眼レフの、望遠側は、
35mmフィルム換算で、300mmですが、
それではやはり、不足するので、もう少し、近寄りたい。
ドアをあけて、くるまを降りたとたん、
ツルたちは、いっせいに飛び立ってしまいました。
あわてて、シャッターを、切りました。
逆光で、シルエットぎみなのと、
黄砂のために、かすんでいるのが残念ですが、
まずまずのできです。
小郭が、思いだしたところでは、
桑干河に白鳥が降り立った、という報道が、
しばしば、あるそうです。
10月くらいのことだそう。
それも、おそらく、ここだろうとのこと。
日本の水鳥は、もっと、人に慣れていますね。
かなり近づいても、逃げようとしない。
ここは、「自然保護区」といっても、
周囲の人が、そのことを、知らないくらいですからね。
水鳥が、人をこわがらないようなら、
かんたんに、人のお腹に、おさまるでしょう。
それにしても、カラカラに乾燥して、
黄砂のまう黄土高原に、
水鳥のあそぶ、湿地があるなんてね。
バードウオッチが趣味の、池本さんに
電話をかけてきいたら、
おそらくそれは、クロヅルか、ナベヅルだろうとのこと。
同じ地図に、「霊丘県黒鶴保護区」というのがあり、
霊丘自然植物園にいく、途中です。
近づいて、みたかったんですけど、
そのあたりの道路わきには、石炭の集積場が、連なっていて、
道路を発見できませんでした。
どんな色のツルであろうと、これではみんな、
黒鶴になりそうです。
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『ぼくらの村にアンズが実った
〜中国植林プロジェクトの10年』
高見邦雄著・日本経済新聞社・四六判280頁・1600円+税
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