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GEN>黄土367>豊富になった野菜
情報提供者 : 緑の地球ネットワーク 提供日付  : 2006/06/26 23:45 登録経由地 : prweb情報受付 02 #01130 注意:自然環境フォーラム及びネイチャー&バードフォーラム経由で掲載した    情報には、一部に当該団体の公式なリリースではなく、ネットワーク向    けにのみ提供された情報が含まれています。    また、掲載形式は、原則として上記フォーラムに掲載されたテキストそ    のもので、前後にフォーラム会員宛の説明や挨拶が付け加えられている    場合があります。

  中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
 書きつづっています。不定期の発行です。
 バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。

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   黄土高原だより(NO.367)
     (2006.06.26)
            高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)

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 豊富になった野菜

 大同に通いはじめて、15年になりますが、
 大きく変わったこと、変わらないこと、さまざまです。
 変わったことの1つに、食事があります。
 とくに野菜類が、ずいぶん豊富になりました。
 といっても、街と農村とでは、事情がちがいますので、
 今回は、とりあえず、街でのことを、書きます。

 15年前は、野菜が欠乏しました。
 とくに、4〜5月が、谷間です。
 秋に収穫した、ハクサイを、古新聞でくるんで、
 部屋の片隅にでも、貯蔵しておきます。
 かなり長期間、保存がききます。

 あ、そうそう。
 ハクサイや、キャベツは、新鮮なものがとれる時期でも、
 畑でとった、そのままを食べるより、
 数日間、天日にさらし、シナーッとなったものを、
 食べることのほうが、多いようです。
 甘くなって、おいしい、といいます。
 ためしてみてください。
 栄養価は、どうなるか、わかりませんけど。

 貯蔵してあったハクサイも、3月ごろには、底を尽きます。
 大同の冬は寒く、長いのです。
 樹木も、常緑のものは、マツなどの針葉樹だけです。
 広葉樹は、すべて落葉。
 屋外で、冬でも育つ、野菜は、ありません。
 ホウレンソウに、宿根性の品種がありますが、
 冬は、地上部がありません。
 春作の野菜が、収穫できるまでには、まだ時間がかかります。

 野菜といったら、マメのモヤシと、
 ニンニクの芽くらい。
 あと、ジャガイモを千切りにしたものが、
 なんとなく野菜っぽいんですけど、
 野菜とはいえないでしょうね。
 よけいなことですけど、中国では、統計上は、ジャガイモは、5キロを、
 穀物1キロに換算して、糧食として、扱います。
 農家では、洗面器などの容器に、土をいれて、タマネギを植え、
 でてくる葉を、野菜として食べる、ということもしていました。
 もちろん、室内におきます。
 
 こうしたことは、いまはむかし。
 四季をつうじて、新鮮な野菜を、入手できるようになりました。
 お金さえだせば、のことですけど。
 大同の街はもちろん、各県の、県城付近の農村に、
 たくさんの、ビニール温室ができました。
 日本では、ビニールハウスですが、
 冬の寒い、ここでは、ビニール温室です。
 
 寒風の吹きつける北側に、レンガの壁をつくります。
 それは上等で、多くのばあいは、版築による、黄土の壁です。
 壁の厚みの間隔をあけ、両側に、木の板をたてます。
 そのあいだに、黄土をいれ、少しだけ、水をかけて、
 上から、木の棒で、突き固めます。
 土のなかの、空気を、追い出すわけです。
 そのようにしてから、乾燥させると、
 黄土は、岩のように、固くなって、ちょっとくらい雨がかかっても、
 崩れることは、ありません。
 万里の長城や、城壁、堡塁も、そのようにして建造されました。
 その小型版です。

 南がわには、鉄筋、その他の材料で、
 ゆるいカーブの、骨組みをつくり、
 そのうえに、ビニールを張ります。
 安上がりにつくるには、骨に、割り竹をつかう。
 東西に長い、ビニールハウスの、北側が、
 レンガや、土の、壁になったものを、想像してください。
 それだけのちがいで、このビニール温室は、
 ビニールハウスとは、まったく、ちがうものになります。
 北からの冷気は、レンガや土の、厚い壁でさえぎり、
 南からの、太陽熱を、効率的に、とりいれます。
 そして、夕方から、朝までは、ビニールのうえに、むしろをかけ、
 日中に取り込んだ熱が、失われるのを防ぎます。

 冬の、いちばん寒い時期には、石炭による、加熱をおこないます。
 農村の温室では、たいていは、ほぼ水平に延ばした、土管のなかに、
 石炭を燃やした煙を通し、その熱で、温めます。
 このような温室のなかで、たくさんの種類の、
 野菜を、育てるわけですね。

 何年かまえ、南郊区で、温室を、見学したことがあります。
 温室の入り口が、小さな土間の、部屋になっています。
 そこに、レンガを何段か、積み重ね、
 格子状に、モウソウ竹を編んだものをわたして、ベッドにして、
 せんべいフトンが、敷いてありました。
 土間のすみに、かんたんなカマドをつくり、
 鍋がかけてあります。
 その土間で、夫婦2人が、1年中、暮らしていました。
 朝、明るくなるのと同時に、温室内で作業をし、
 夜、暗くなるまで、それをつづけます。
 多少でも、お金が残ると、それを実家に送る。

 そこの温室村は、広霊県の人が、多かったのです。
 南郊区は、都市近郊ですので、地元の人は、農業以外のしごとに就く。
 畑に、温室を建て、ほかの農民に、貸すわけですね。
 最初に、広霊の農民が、そこに住み着くと、
 同じ村の人を、つぎつぎに、呼び込みます。
 私には、しんぼうできそうにない、生活ですが、
 それでも、広霊の農村よりはましで、稼ぎにもなるのでしょう。
 だから、やってくる。

 この春、市場に行ってみました。
 道ばたの、自由市場もおもしろそうですが、
 それは、つぎの機会にまわして、
 屋根のついた、公設市場にいきました。
 王萍の、職場の近くで、彼女がいつも、買い物しているところ。
 夕方にいってみると、にぎやかなんですね。
 まずは、ものすごい数の客。
 まあ、街中、どこも人が多いんですけど、
 それがギュッと、凝縮された感じ。
 そして、よくしゃべるんですよ。
 ときには、値段についての「真剣勝負」もあります。
 ブーン、ブーン……、私の耳には、
 ミツバチの巣にでも、飛び込んだ感じです。

 肉、魚、酒、その他の食品から、日用品まで、売ってますけど、
 おもしろいのは、やはり野菜で、品数が多い。
 以前だったら、いちばんの谷間の、4月下旬に、
 こんなにも、野菜が多いのです。
 地元の、温室でつくったもののほかに、
 他地方から、運ばれてきたものも、あります。
 それも、交通網が整備されて、可能になったこと。
 
 主婦たちの悩みは、野菜の値上がりが、激しいことです。
 石炭の街、大同は、いま好景気に、わいています。
 賃金相場もあがっていますが、物価も急騰中。
 なかでも、野菜が、すごかった。
 それにくらべると、肉や卵、果物は、変化が少ない。
 石炭価格の高騰が、温室栽培の野菜に、
 直接、影響しているのかもしれません。
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